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風向計 |
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――アフガニスタンでの「対テロ戦争」を支援するテロ対策特別措置法の延長に民主党は反対で、秋の臨時国会での争点です。この問題をどうみていますか。 「テロ特措法は時限立法ですから延長するならそのつど、きちんとした総括が必要です。ところが、それをほとんどしないで、すでに3度も延長されました。今度こそ元へ戻って十分に議論されるべきです」 ――憲法があったから隊員たちの命が守られたわけですね。 「そうです。だからその1つをみても憲法は変えるべきではありません。自衛隊が海外で戦えるようにしてはだめです」 「憲法が目指しているのは、世界中の軍備がなくなることです。どこの国でも軍備を減らせば民政にお金を回せます。日本でも、日米同盟という言葉の下で米国に従属して国民の血税がどんどん使われているのを止める軍縮は、財政危機の中で非常に重要です」 ◆本音隠した改憲論 「『同盟』には普通『仮装敵』があります。日米同盟の『敵』はどこなのか。戦闘機やイージス艦や戦車を持たないと北朝鮮が攻めてくるのですか。そもそも日本が敵を持つことはあり得ないのです」 ――しかし改憲派は憲法9条2項を変えて交戦権を持ち敵基地を攻撃できるようにしようとしています。 「そうです。米国は日本が一緒に戦ってくれることを求め、集団的自衛権行使のためには改憲が必要だとしています。日本の改憲派はそれに協力しているわけです。参院選で安倍首相は憲法改正を掲げましたが、何をどう変えるのかは言いません。本音は隠して『国を守るのは当然のこと』などといって改憲ムードをあおっています」 ――新聞も改憲の裏の米国の圧力を問題にせず、ムード論に流れています。 「読売とサンケイの主張は完全に改憲派です。朝日は9条を変えるのはマイナスが多過ぎるという論調ですが、テロ特措法延長については、まだ論評していないようです。毎日は延長が必要な理由をはっきりさせよという論調です」 ――メディアは、法案の中身もわからないまま世論調査をして、その結果におもねるような論説を書いたりもしています。 「世論調査には警戒が必要です。どこをどう変えるかを抜きに回答を求めるのはおかしいでしょう。それで、『改憲論が多い』とはムード作りに過ぎません」 ◆憲法で考える立場 「世論調査では、例えば9条を変えて交戦権などをもっと厳しく禁止すべきだ、という意見を改憲論に分類してしまうケースがありました。ひどい話です」 ――それからメディアの政府批判は、国民に対する説明努力の不足などを指摘するだけで法案の中身が良いか悪いかには余り触れません。自分の主張をはっきり出さないのです。 「例えば岩国基地の住民投票の時です。朝日、毎日も地元が反対するのは、住民への説得の仕方が悪いからだと書きました。それでは、説得がうまくいけばそれで良いのかということです。しかし、基地は嫌だというのはどこでも同じですから、基地の国内移転はもう無理だ、と書くべきです」 ――大新聞は広告収入に依存していますから、兵糧攻めを恐れて、言論への圧力を先取りしてしまっているという感じがします。 「ジャーナリズムはそれではいけません。あくまで憲法の精神で考える立場を貫いてほしいと思います」 ――市民的自由の危機 「また自衛隊の情報保全隊が住民運動を調査していることが発覚しました。憲法意識からするとこれは不気味です。軍事組織が市民運動を監視しているのですからね。これをやめさせる規制法が必要かもしれないくらいです。しかし読売・サンケイ・日経3紙は、2―3段程度に小さく紙面の隅扱っただけでした」 ――憲法でものをみる立場が全く欠けています。 「こんな話もあります。東京・調布市の市民サークルが『日本の青空』という記録映画を自主上映するため市に後援を申請したところ断られました。製作者の呼びかけ文に『改憲反対の世論を獲得する』とあったのが『政治的に中立とはいえない』というのです。『憲法を変えろ』というのは『政治的偏向』かもしれないけれど、『護ろう』というのは政治的ではありません。市民的自由を脅かす風潮が広がっています」 ――メディアがそういうムードをつくってきました。護憲が政治的なら平和を守ろうという運動も政治的になります。 「小泉前政権による『構造改革』もムードづくりの例です。食料自給率の向上なら、それは真の改革ですが、そんな改革ではなく、競争原理の徹底です。地域を壊し人心を荒廃させ、子殺しや親殺しなどの悲惨な事件が増え、ワーキングプア(働く貧困層)や格差の増大をもたらしました」 ――メディアはその責任を果たしていません。読者としてはそこをよくわきまえて新聞を読まなくてはいけませんね。
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(2007.9.6) |
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