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風向計 |
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◆地域共同体が崩壊
――日本の政治を変える時がきたといわれます。今後の流れをどうみておられますか。 「自民党は安倍辞任でがたがたになりましたが、メディアが一生懸命にテレビキャンペーンなどで総裁選に協力したので福田内閣は比較的いい支持率で発足し、自民党の支持率も民主党を上回っています。このため今、総選挙をやれば勝てる、勝負は今だとの強気路線が自民党内やメディアの1部にあります」 ――そんなに重要ですか。 「社会の中で最も善良な国民が自民党離れを起こしていることです。私は人類の中で農業に生きる人々が1番良質だと思っています。厳しい自然の論理の中で生きているからです」 ――誰のための政治か。 「大局的な流れは変わらないと思います。もし今までのように自公が衆議院で強行採決した法案を参議院に送れば野党は拒否します。時には総理大臣の問責決議案を参議院で議決します。そうすると福田内閣は総辞職か解散に追い込まれます」 ――米国一辺倒だった小泉・安倍政権と、国連中心主義の民主党を比べる世論の動向といったものをどうみられますか。 「イデオロギー政治は国民を不幸にしてきた。自由主義は強者のためのイデオロギーとして使われました。自由主義・市場原理主義のイデオロギー政治は過去250年間、世界人類を不幸にしてきました。今、強者のためのイデオロギー政治の先頭に立っているのがブッシュ米大統領です」 ――地域格差の問題についてはいかがですか。 「東京は労働力不足ですが、地方は就職先もないほど疲弊しています。東京中心主義では日本は崩壊してしまいます。政治は本来、地方に基礎をおくべきです。東京の繁栄が日本を救うなどといった論理は大間違いなのです」 ――戦争中、沖縄県民が軍によって集団自決させられたという教科書の記述書き換えなども地方政治をないがしろにする象徴的な問題です。 「その通りです。戦争末期の沖縄では全集落・集団が軍隊の指揮下に置かれ、軍隊の規範が一般人にも適用されました。『捕虜になるな』と自決用の手榴弾が軍隊から一般の住民に手渡されたのです」 ◆歴史の捏造許さず 「本土でも子どものような小中学生が軍事教練をさせられ、軍の指導下に置かれましたが、そんな経験のない若い政治家は戦争への厳しい考え方を持っていません。その代表が安倍前首相でした。そんな中で歴史の捏造があちこちで始まりました」 ――貿易自由化についてはいかがですか。その論理が貫かれてきて農業は衰退しました。 「米国の共和党政権は戦争と巨大な資本家擁護の帝国主義的な政治を進め、日本の自公政権はそれに協力しています。農業政策でも米国の巨大農業を保護する政策に協力させられています。自由化を受け入れざるを得ないのならば日本政府は農業を保護しなければならないのです」 ――政策転換が求められますが、小沢一郎代表の民主党に対する期待が大きいですね。 「かつて自民党を主導したのは中道保守の潮流でしたが、1980年代からレーガン米大統領の影響を受けた首相が中曾根、橋本、小泉と続いて新自由主義の政策を進め、中道保守は滅びました。それを民主党において復活させたのが小沢さんです」 ◆これから大転換が始まる 「資本家の利益を第1義とする新自由主義に対して、中道保守はいわば修正資本主義です。完全雇用で国民全体を幸せにしようという方向です。参院選勝利後、民主党内では、小沢さんのこの考え方が主流になってきました」 ――年金などの福祉問題についてはどうお考えですか。 「福祉は直接的福祉だけでなく、もっと広い視点に立って行うべきです。完全雇用の実現で、みんなが稼ぐことができるようにする、そうすれば生活保護を受ける人も減って政府・自治体の財政難が解決するのです。完全雇用を含む広い意味での福祉が必要です」 ――福祉事業の民営化なんておかしな話です。福祉をカネもうけの手段にするのですから。 「社会が壊れてきています。カネ、カネ、カネの拝金主義が日本社会を壊しています。人間にはカネもうけ以外の崇高な目的があるなどと言うと東京では“マルクス主義みたいな青臭いことを言うな”と言われる始末です」
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(2007.10.23) |
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