農業協同組合新聞 JACOM
   

シリーズ 私のビジネスライフ―DREAM・VISION・ACTION・ROMAN―

人や環境にやさしい微生物剤にもっと関心を
農家に密着したJAに期待

サングリーン(株) 伴 資英社長


  アリスタライフサイエンス、出光興産、セントラル硝子、多木化学の4社はこの8月、微生物防除剤のいっそうの普及促進を目指した『日本微生物防除剤協議会』を立ち上げた。サングリーンは、会員会社であるセントラル硝子の子会社。「微生物防除剤に興味をもって頂ければ、普及拡大がいっそう加速するのではないでしょうか」と、JAグループにかける期待を伴資英社長は語った。(本文「 」内は伴社長の談話)


サングリーン(株) 伴 資英社長
ばん すけひで
昭和23年9月、広島県生まれ。57歳。49年京都大学農学部農芸化学卒、同年セントラル硝子(株)入社。主に研究開発畑を歩く。平成16年6月からサングリーン(株)社長。
 「消費者ニーズは食の安全・安心にシフトしている。微生物防除剤は、IPM(総合的病害虫・雑草管理)の推進手段の1つであり、その手段の可能性を広げるために立ち上げた」と、日本微生物防除剤協議会設立の意義を語る。
 本年8月1日、同協議会はアリスタライフサイエンス、出光興産、セントラル硝子、多木化学の4社を会員として、微生物防除剤のいっそうの普及促進を目指して設立された。氏は、設立の準備から設立に至るまで裏方を務めた、いわば水先案内人。冷静沈着の中で、ユーモラスな動静が人を惹きつける。
 この分野、業界では微生物農薬と呼んでいるが、「微生物農薬は、通常の農薬とは効果発現のメカニズムが異なることから、”農薬”とは呼ばず”防除剤”として位置づけた」という。
 微生物防除剤は、もともと自然界に生息する微生物が、病原菌のすみかや餌を奪うことで作物から病害虫を防除する。そのため、「作物に対する薬害や汚染の心配がなく、使用回数などの制限がないことから、人や環境に対する負荷が少ない」といった優位性を強調する。
 特殊高機能性肥料や微生物資材を主体に事業展開するサングリーンとは、どのような会社なのか。平成5年1月の設立で、同16年7月にセントラル硝子の100%子会社となっている。
 「当時は日本合同肥料の扱う水稲以外の肥料、花き、緑化用肥料などが中心でした。大きく変化したのは、セントラル硝子との統合によって微生物剤を取扱うようになってから」だという。「サングリーンは、細かい末端活動をやらないとやっていけない会社でした。その細かい普及力が、微生物防除剤の普及推進に役立つと信じています」という。
 同社の製品構成は、大別して微生物剤50%、花き・緑化用肥料50%の対のウエイトとなっている。前者ではバイオキーパー、モミゲンキ、セラキンコン、CK100(緑化用VA菌根菌資材)、後者ではグリーンマップ、ライト、ハイグレードシリーズなどが中心となっている。
 現在、全農薬市場は約3500億円余り。これに対して、微生物防除剤は0.4%(約15億円)にとどまっている。製品数も農薬が約5000アイテムある中で、50アイテム程度と少ないのが実状。「20年余り取組んでいますが、社会からなかなか受け入れられません。苦労の割には広がりを見せません」は本音だと思える。
 同協議会は、10年後に全農薬市場の1割までの拡大を目指している。それには、アイテムの拡大、効果の充実、およびよりいっそうの使いやすさの追求がのぞまれる。情報の収集とともに、その情報の共有も大切だと思われる。
 「JAグループは大きな組織で、農家に密着した専門集団だと認識しています。この組織化された専門集団に、いっそうこの分野に興味をもって頂ければ、普及拡大が加速するのではないでしょうか」と、JAグループにかける期待を語った。
(2006.10.5)


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