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シリーズ 食肉流通フロンティア ―全国食肉学校OBの現在 |
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◆地域が一体となって「南信州牛」の地産地消を推進
中央アルプスと南アルプスに挟まれ、その中央を天竜川が流れる伊那谷の中心地が飯田市だ。リンゴ、モモ、ナシなどの果物の産地として有名だが、馬肉をはじめこの地方独特の「肉の文化」があると市瀬宏さん。 ◆いまでも仲が良い同期生 肉屋の次男に生まれた市瀬さんが全国食肉学校に入ったのは、ちょうどBSEが発生して食肉業界が大きく揺れているときだった。そのためか同期生は12名と少ない。だが逆に「風呂も全員で入れた」というように「密な関係ができた」。同じ班(4人)だった仲間とはいまも連絡をとりあっていて、先日はそのうちの一人の結婚式にも招待された。 ◆熱々(あつあつ)を持って帰ってもらう惣菜コーナー 「肉のいちのせ」の店内を見ると、南信州牛をはじめとする牛肉、豚肉、鶏肉、馬刺そして北海道とともに飯田が元祖だというマトンの肉類に加えて、惣菜のコーナーがある。例えばコロッケなど揚げ物を見るとまだ揚げていない。なぜかと聞くと、注文を受けてから揚げ「熱々を持って帰ってもらう」のだという。揚げている間に近所に買い物に行くお客が多いという。 が、スーパーは価格の安さで品揃えしており、「味の幅が大きい」ことと生産農家の訪問、枝肉を自分で見て品質を統一する、いつでも食べ頃(熟成)の肉をおいているなどの「こだわり」で棲み分けをしている。野菜などはスーパーで買い、肉は「いちのせ」でというこだわりの客層をシッカリつかまえているということだ。 ◆地域に密着したユニークなアイディアも その一つに、大変ユニークなものがある。鉄板とコンロの貸し出しだ。6人が囲める特注の市販のものより厚い3ミリ厚の鉄板とコンロのセットが13あり、天竜川の河原や企業の駐車場で鉄板焼きパーティーが行われ、多いときには1.5回転つまり100人くらいの利用がある。1人300g肉を食べれば30kgの売上げになる。りんごの観光農園でバスツアーの客が利用することもあるという。「こんなことは都会では考えられないでしょう」と市瀬さんは笑う。地域の実状に合わせたアイディアの勝利だといえる。 ◆直営の肉料理店経営が夢 今後について市瀬さんは大きな夢をもっている。全国食肉学校のときの研修先がステーキハウスも経営していて、そこで食べたステーキの味が忘れられないのだという。だから直営で肉を食べさせる店を経営したいのだ。肉を食べさせる店が面白いのは「生肉をお客が自分で加熱して好みに合わせて食べる」ことだ。焼肉もすき焼きもしゃぶしゃぶもそうだし、ジンギスカンもそうだ。そこに何か工夫をしてやってみたいと考えている。 | ||||||
(2007.12.26) |
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