|
||||
|
著者インタビュー
山岸 昨年6月「村の息吹を伝えてほしい」という週刊『全国商工新聞』からの依頼で、8月から1年間連載させていただきました。北アルプス山麓の人口3800人という豪雪の村を舞台に、地元の人と、よそから来た人たちが混じり合って、貧しくとも楽しく、真剣に協力しながら生きていく姿を描いてきました。 ――都会の読者が多い新聞だと思いますが、とくにアピールしたかったことはなんでしょうか。 山岸 東京から来訪する人は「時が止まったみたい」と言いますが、山里の時間は自然とともに循環しながら、休みなく動いています。その速さは四季の移り変わりといっしょでゆったりです。自然は美しく、ときには厳しく、危険を伴うこともありますが、人間も動物も本来は山や森や原野の中で生きてきたので、大昔にもどったように感じるのでしょう。 ――山岸夫妻は横浜の団地住まいだったそうですね。山里暮らしのよさを教えて下さい。 山岸 人それぞれでしょうが…横浜の狭い団地から20年前に移ってきて心地よかったのは、雪山や森などの自然を含めて家の内外の空間の広さでした。憲法に保障されたはずの「基本的人権」はまずこれだ、と思ったものです。 ――小谷村は、平成大合併の流れに抗して、自立していくことになったそうですが…。 山岸 1998年の冬期オリンピックで、主会場となった白馬村との合併を、行政当局者たちは既定の路線のように、任意合併協議会で進めていました。しかし、最終的に小谷の人々は6割が反対して自立を決めました。レディース・ミーティングなどで会合を重ねた女性の意向が大きかったですね。この経緯は「地域資源を活かした小さな村の自律」と題して、本で取り上げています。 ――村の自立で、大切だと思っていらっしゃることは? 山岸 古い建造物を生かし、看板広告・自動販売機などを減らして、山里らしいもの…例えば古道を復活させ、道祖神や庚申塚、馬頭観音などを残し、伝統文化と新しい手づくり文化を融合させた、個性ある村づくりでしょうね。小谷村は、超高層ビル群とは対照的な、豊かな自然と個性ある村だと思います。村人たちは、いんごっこじ(頑固)なところもありますが、実に多彩で人情深いですよ。 ――その子どものことですが、村での教育について、考えておられる点をお聞かせ下さい。
山岸 活字離れはどこでも心配ですね。この本にある「本と親しむ会」のような活動で、子どもたちに夢を持たせることがますます大事です。 |
||
(2005.12.2) |
特集企画 | 検証・時の話題 | 論説 | ニュース | アグリビジネス情報 | 新製品情報 | man・人・woman | 催しもの 人事速報 | 訃報 | シリーズ | コメ関連情報 | 農薬関連情報 | この人と語る21世紀のアグリビジネス | コラム | 田園交響楽 | 書評 |
||
社団法人 農協協会 | ||
|