筑波書房のブックレット「暮らしのなかの食と農」シリーズは、2002年5月25日から6月15日まで、明治大学農学部で行われた公開講座で話されたものに著者が若干の修正を加えたもので、食と農の在り方が問われているときだけにタイムリーな企画であり、農協関係者の必読の書である。
「暮らしのなかの食と農(1)」
中村 靖彦著
問われる食の安全性(定価750円・税別)
BSE(牛海綿状脳症)の発生を契機にクローズアップされた食の安全性の問題、相次ぐ食品の偽装・表示違反事件を通して、企業のモラルの低下、JAS法の甘さを追究し、安全性を保証する制度の確立を提言。そして農業と食のあり方を語る。
BSE発症の地イギリスで現地取材した著者は長年、NHKの解説委員として農と食の問題を追求してきた専門家であり、わかりやすく分析している。
「暮らしのなかの食と農(2)」
北出 俊昭著
コメから見た日本の食糧事情(定価750円・税別)
コメの生産や消費・自給率低下など悪化する日本の食糧事情をどう改善するかを鋭く追求する。
著者は長年、全国農協中央会で米問題を中心に農政を担当してきた。石川県農業短大から明治大学に転じたコメ問題の専門家である。
貿易自由化が進行するなかで、深刻化する日本の食糧事情をコメの自給率や生産、消費の実態にメスを入れ、今後の食料の安全性を確保するための方策を提言する。
「暮らしのなかの食と農(3)」
井上 和衛著
ライフスタイルの変化とグリーン・ツーリズム(定価750円・税別)
イギリス、フランス、ドイツのグリーン・ツーリズムの経験をふまえて日本型グリーン・ツーリズムのあり方を提言する。
著者は、何回となく西欧に滞在し、農村を取材して、グリーン・ツーリズムとは何か、西欧諸国のグリーン・ツーリズムを実態調査してきた、わが国では数少ない専門家である。
都市と農林の共生としての日本型グリーン・ツーリズムの在り方を提言する。
(2003.9.12)