■ 自著を語る ■ | 元秋田県仁賀保町農協組合長 (社)農協協会副会長 佐藤喜作 | |
『自給自立の食と農』
|
ローマは1日にしてならず、我らが身体も精神も、1日にしてならず母の体内で受胎し成育を続け20歳までは成長すると言われるから約21年の歳月となる。 まさに近代は「食は命懸け」の時代になってしまった。もちろん古代でも食の確保のために命懸けではあったが、今日では質の安全性での問題なのである。その証拠は毎日の新聞に、健康食品と健康薬の宣伝記事が満載されているし、一方消費者は薬で健康になれると言う、恐るべき迷信をもっている。この誤りを指摘し、その対策を提言したのが本書である。 ◆自給の意味と自給運動 かたや生産者にも重大な責任がある。それは命を蝕むような資材は排除しなければならないのに、大量、広範に使用しているのだ。ただしこれらの資材を、生産者が製造して使用しているのではない。 しかし農業となっても原点の生存のための農畜産物の生産でなければならない。特に日本農業は自食する農業である。その産物が不安のあるものであれば、農家は食べないであろう。だから自給運動を展開して約40年にもなる。その経過も紹介している。 ◆稲から眺めてみる 日本人の真の健康を取り戻すには、本来の長い歴史に育まれた日本型食生活の復活以外その道は無い。米と穀類、野菜に魚、そして主食と副食の姿こそ、理想的食体系として、アメリカを始め外国から注目されている。その優れぶりの中心である米と稲の一部を紹介している。それは単なる米イコールご飯でなく、稲にも焦点をあて、そして米全体を見る、即ちマクロで判断することである。それはとりもなおさず本来の日本と、日本人になることである。 この本は誠に平易で、学術的な内容は全くない。出来るだけ事実による記事にしている。願わくは特に消費者の方々に読んで頂き、食に対する認識、そして自然を相手の農の実態を理解して、農業者と共に、世界的規模で進行している健康破壊、農の消滅、離脱農に歯止めをかける起爆剤の役割を願っている。 |