■ 自著を語る ■ | 農政ジャーナリスト 宮崎隆典 | |
『ステビアパワー革命』
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◆5年間の実地取材の結果をまとめる 1995年から筑波山麓に約1haの田畑を借り仲間と週末農業をしている。そこへ飛び込んできたのが、話題のEM菌や木酢液などに負けない効力をもつという新しい農業資材「ステビア抽出液」の情報だった。 次の課題はステビア抽出液がなぜそうした効果を発揮するのか、その科学的根拠を突き止めることだ。抽出液の成分や働きのメカニズムを研究中の東北大学農学部で取材、その確かさに確信をもった。その上で、できるだけ多くの栽培事例を集めることとし、野菜、 果物、畜産物へ対象を広げて取材、それぞれでステビアが驚異的な効力を発揮している事実をつかんだ。 5年間にわたるそれらの取材をまとめたのが本書である。タイトルに革命という言葉を使ったが、以下に挙げる代表的な驚異の事例によって、革命の意味が理解していただけるだろう。 ◆果実は味も抜群、連年豊作 ステビアは、南米パラグアイ原産のキク科の多年草である。農水省が天然甘味料の材料として1971年に輸入、日本でも栽培されている。葉から採取されている甘味では砂糖の300
倍の甘さでノンカロリーとされ、清涼飲料やキャンディなどに広く使われている。 畜産はどうか。宮城県三本木町の養鶏業者は鶏の餌にステビア抽出液を混ぜ、殻の固い、黄身を箸で持ち上げられるほど張りのある卵を生産、鶏自体の死弊率もほぼゼロに抑制。同県桃生町の養豚業者は豚を同様に飼育し数段の肉質アップを成し遂げているという。 以上の効果は、東北大学農学部水産科学研究室の研究により、例えば日持ちのアップは、ステ菜抽出液が高濃度に含有するカリウム無機塩類の「抗酸化力」のせいであることが学問的に突き止められている。 |