農業協同組合新聞 JACOM
   
コラム
消費者の目

心に響くサービスを


 妻と娘が使っているノートパソコンの調子が悪くなってしまいました。一週間ほど前から、「キュル、キュル・・・」という嫌な音が聞こえているのです。内蔵されているハードディスクが壊れてしまったようです。動いている内にデータのバックアップを取ったので、思い切って自分で修理してみようと電源を入れてみると、いよいよ立ち上がらなくなってしまいました。これはとうとう買い換えなければならないと思い、インターネットでパソコンの値段を調べました。

 インターネットで買い物をするのが当たり前の世の中ですから、パソコンの値段を調べることなど簡単にできてしまいます。「価格.com」というサイトでは、お店ごとの価格を表示してくれるので、買い手にとってはいい目安になります。同じ機種でも店舗によってこんなに違うのかとびっくりしてしまいます。友人達もこのサイトはよく利用しているのですが、一番安い価格を出しているお店から買うのかと言えば必ずしもそうではないのが実情です。価格だけでなく、店舗の信用、サービスなどが購入先を決める時には重視されているのです。

 量販店の店頭では、値段の交渉がひとつの儀式になっていました。1円でも安く買うために、あっちの店、こっちの店と見て廻り、価格の交渉をした経験は誰しも持っているものです。しかし、交渉上手な人が得をするシステムというのは、交渉下手な人にとっては不条理に感じられるかもしれません。値段次第であっちの店こっちの店と亘り歩くようなお客は、お店にとっても決して良いお客さんではないでしょう。

 お店にとっては、繰り返し買ってくれるお客さんこそが大切なお客です。電器製品の大手量販店は、不毛な価格戦争の果てにその事に気がつき、お客さんとの長いお付き合いを築こうという戦略にシフトしてきているようです。従来の現金での値引きではなく、ポイントを還元するというやり方は、再来店を促すという点で長期的な視野にシフトした結果だと思います。

 農協離れが進んでいると言われていますが、価格だけで動く顧客は放っておくべきでしょう。価格競争に追随せず、サービスのレベルを上げ、馴染みのお客さんを大切にすることに邁進していただきたい。対抗して価格を下げれば短期的には顧客が戻るかもしれませんが、もっと安い価格が出ればまたそちらへ移ってしまうからです。一次的に売り上げは減ってしまうでしょうが、お客さんの心に響くようなサービスが提供できれば、必ずついて来てくれるお客さんはいるはずです。(花ちゃん)

(2006.11.10)



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