「見かけより中身が大切」と言いますが、人間はえてして見かけで中身を判断しているようです。
例えば、就職活動では履歴書の写真の良し悪しで、書類選考を通るか落ちるかが大きく違うといいます。中身が確かでも書類審査の写真で落とされたのでは、自己アピールのしようもありませんね。履歴書用に写真を修正してくれる写真屋さんが繁盛しているそうですが、無理もないことかも知れません。
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2002年8月14日付けの英国「インディペンデント」紙に、身長と子供の数の調査結果が掲載されました。この調査は1958年までに生まれた1万人の男女を対象に実施されたものですが、その結果、42歳までに相手を見つけて子供を持つうえで、身長が大きな影響を及ぼしていることが分かりました。英国人男性の平均身長5フィート10インチ(178センチ)の男性は、6フィート1インチ(185センチ)ある男性に比べ、中年までにもうける子供の数がかなり少なかったということです。
調査を実施したオープン大学のネトル氏は、女性は背の高い男性に魅力を感じる一方、男性は背の高い女性に特に魅力を感じないことが心理学の実験で明らかになっており、これが実生活に反映されていることがこの調査で証明されたとしています。
さらに氏は、背の高い男性が女性にとって魅力的である理由を、「背の高さは体力の優位を意味しており、文明が未発達だった時代には、より安定した生活を約束するものであったため」、と考察しています。背の高い男性の子供たちは総じて背が高く、それは生きていく上で有利であることを意味します。そのため、女性は本能的に背の高い男性に惹かれるというのです。まさに、子孫を残すために自然が仕組んだ選抜システムが働いた結果と言えるでしょう。
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我々は自ら意識する・意識しないに係わらず、野菜や果物も「見かけ」で選んでいます。青いトマトより赤いトマトの方が、やわらかく甘そうに見えます。子供達は、誰に教わるわけではないけれど、青いトマトには目もくれず、赤く熟れたトマトをもぎろうと手を伸ばします。虫が食った野菜や病斑のある果物は本能的に避けています。曲がったキュウリよりまっすぐなキュウリ、いびつなイチゴより形の良いイチゴという具合に見た目による選択の例を挙げたらきりがありません。
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明らかに我々は、農産物を見かけで選択しています。スーパーの野菜売り場へゆくたびに、無意識に野菜を手にとって無心に見比べているのは私ばかりではないはずです。我々がどうして見かけで農産物を選択するのか、今はまだハッキリとは分かっていませんが、いずれ科学的な解明がなされる日が来るでしょう。 (花ちゃん) (2003.11.27)