全頭検査のおかげで日本のBSE問題が一段落したと思ったら、アメリカ産の牛肉でBSEが発見されもう一騒動です。新聞の報道によると、アメリカ産の牛肉は牛丼をはじめとする外食産業でたくさん使われており、いつの間にか国内で流通する牛肉の4割を占めるようになっていたようです。アメリカ産の牛肉が輸入禁止になったことで、牛丼をはじめ外食産業に与えるインパクトは計り知れません。
昭和60年代に70%近かった牛肉の自給率は、年とともに下がり続け、2000年時点では33%になりました。しかし、この間、国産の牛肉の生産量は僅かに減ったのみで、輸入牛肉によって牛肉の消費量が伸び市場が広がったように見えます。アメリカ産牛肉のBSE問題は、皮肉にも供給量の不足を引き起こし、オーストラリア産や国産の牛肉の価格を引き上げることになるのではないでしょうか。まさに、塞翁が馬のたとえの通り、一寸先は分からないものですから、一喜一憂すべきではないですね。こんな時は、やるべきことをきちんとやった人が強いという事かもしれません。
牛肉がダメかと思ったら、今度は79年ぶりに鳥インフルエンザとは。「ニワトリよ、お前もか!」と言いたくなります。しかも、食品流通の対応を見ていると、まったく非科学的でがっかりします。鶏の肉を店頭からすべて排除するスーパーがあると思えば、九州から東京へ出荷される卵や鶏肉が、鳥インフルエンザの発生した県を通過したというだけで受け取りを拒否した業者もあると聞いては、開いた口が塞がりません。これでは、小学生の「エンガチョ」と変わりがないじゃないですか。病気の蔓延を抑えるために鶏を処分するのはやむをえない事ですが、つまらない風評によって処分される鶏たちは犬死(?)ですし、第一こんな対応を繰り返していたのでは、いつまでたっても消費者の信頼は得られないでしょう。今は何が安全で何が危ないのか科学的に見極める能力をしっかり身につけて、風評に左右されない毅然とした態度の方が信頼されるのではないでしょうか。
いくつかのスーパーが、すでにプライベート・ブランドの開発に取り組んでいます。安全・安心をうたい文句にして、工夫を凝らしたトレードマークをつけた商品が棚に並んでいます。風評に一喜一憂しないだけの判断能力をこれらのスーパーがきちんと持っているのか、それとも見掛けだけなのか、これからが正念場といえます。(花ちゃん) (2004.2.6)