農業協同組合新聞 JACOM
   
コラム
消費者の目

リスクマネジメントは「折り合い」


 春になると、花粉症対策のためマスクをかけた人で街があふれます。花粉症は、スギやヒノキなどの植物の花粉が原因となって、くしゃみ・鼻みずなどのアレルギー症状を起こす病気です。現在、日本人の20%が花粉症だと言われているのですが、私の周囲の花粉症人口は50%を超えているような気がします。
 地域によってかなり偏りがあるのかもしれません。沖縄や北海道にはほとんどスギがないので、スギ花粉症はないそうですが、花粉症はスギ以外の花粉でも起こるので油断はできません。例えば、北海道ではシラカバ花粉症が多いそうです。今年は昨年の夏が暑かったせいで特にスギ花粉の量が多いとのことで、昨年までは花粉症を発症していなかった私自身も、ひょっとしたら今年から花粉症になるのではと心配しています。

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 花粉症の治療には、主に抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤、ステロイド剤が用いられ、これらを服用したり、点眼・点鼻薬として用いたりします。抗アレルギー剤は比較的副作用が少なく、スギ花粉の飛ぶ3〜4カ月であれば副作用はほとんどないといわれています。抗ヒスタミン剤のもっとも大きな副作用は「眠気」で、友人もしきりに「眠い、眠い」と言っています。より効果の高いステロイド剤は長期連用が問題になることがあります。
 10年以上スギ花粉症と付き合っている友人は、2月頃から5月まで抗アレルギー薬を飲んでおり、薬代もばかにならないようですが、薬の副作用の方がもっと心配だと言っています。しかし、心配ではあるけれども薬なしには生活できないとも言っています。

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薬の効果と副作用に代表されるように、物事には良い面と悪い面が必ず存在します。例えば、自動車は我々を素早く目的地に運んでくれますが、同時に自動車の出す排気ガスによって大気が汚染されています。騒音も問題です。毎年1万人以上の人が交通事故でなくなっていることも忘れてはならないでしょう。タバコは自分だけでなく周囲の人の健康への悪影響が問題視されていますが、精神を安定させストレスをコントロールするという効用もあります。適度なアルコールは気分を昂揚させ会話を弾ませますが、飲みすぎるとやはり健康を害します。
 大切なのは、「どこで折り合いをつけるか」ということだと思います。難しい言葉で言うと「リスクマネジメント」です。つまり物事の悪い面(リスク)を最小限に抑えつつ良い面(ベネフィット)を最大化できるポイントを探すことです。

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 日本人はとかく物事の一面だけを見がちです。テレビである食品がダイエットに効果があると紹介されると、翌日スーパーの店頭でその食品が飛ぶように売れるそうです。逆に、一旦悪い面を見てしまうと、その良い面を忘れて排除しようと極端な行動にでる傾向があります。私達はもっと物事の二面性に目を向けなければなりません。二面性を理解し、リスクマネジメントを行うことで私達の生活はもっと便利で豊かになると思います。(花ちゃん)

(2005.4.28)


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