農業協同組合新聞 JACOM
   
コラム
消費者の目

何事も遊びに変えて脳のトレーニング


 最近どうも人の名前が出てきません。顔は浮かんでいるのですが、どうしても名前が思い出せないという経験は誰にでもあるでしょう。とはいえ、自分の脳が人並みよりも老化しているのではないかと心配になってしまいます。
 友人にその話をすると、脳のトレーニングに良いというゲームソフトを教えてくれました。足し算、引き算、掛け算など簡単な計算問題をできるだけ短時間に解いたり、文章を音読したりすることによって脳が活性化されるということです。最新の脳科学に基づいたトレーニングがお手軽に楽しくできるとあって、元来子供向けが多いゲームソフトの中で、中高年に売れているようです。それだけ自分の記憶力の衰えに危機感を持っている大人が多いということなのでしょう。

 私も早速ゲーム機本体とゲームソフトを買ってきました。「3+4=」、「9−7=」、「2×3=」などの単純な計算問題を一心不乱に解くのは小学校以来で、最初は答えが出てくるのに少し時間がかかりました。やはり使っていないと脳は衰えてしまうのかもしれません。
 しかし、慣れてくると問題を見た瞬間に答えが頭に浮かんでくるようになるもので、これは一種の快感でした。最初100問の計算を解くのに3分近く掛かっていたものが、回数をこなすごとに2分近くまで短縮されてきました。何ということはない単純なトレーニングなのですが、自分自身で進歩が実感できるのでハマッテしまいました。

 一方、音読のほうはというと、娘が幼かったころに絵本を読んであげて以来だったのですが、課題として与えられる文章がどれも日本の文学史上に燦然と輝く小説や物語の一節なので、非常に楽しんで読むことができました。こちらもできるだけ早く読むというのが味噌だそうで、目で文字を追いながら、それを音にする音読は、意外なほど頭がかっかしてきます。実際には声を出して読んでいる箇所の少し先を目は追っていて、句読点や文意から来る文章の切れ目を理解した上で声にするという忙しさなので、脳が活性化されているのを実感できます。
 「読み聞かせ」は話を聞いている子供の情緒形成に良いといわれますが、話して聞かせている大人の脳にも良い効果があるようです。

 私の恩師は常に頭を使うことが好きな方でした。自身は運転なさらなかったのですが、助手席に座って長距離を移動しなければならないときなど、対向車のナンバープレートの数字で遊んだものです。
 車のナンバーに使われている4つないしは3つの数字を使って左右が等しくなる数式を作るという遊びで、例えばナンバーが「23 15」だとすると、「2×3=1+5」という具合に数式を作ります。「47 49」であれば「4×4−7=9」という具合です。順番を入れ替え、足し算、引き算、掛け算、割り算を駆使して、左右が等しい数式が完成した時瞬間は何ともいえない快感です。この遊びはお金も掛かりませんし、一緒に車に乗っているみんなで熱くなれること請け合いです。
 工夫次第でお金を掛けずに脳のトレーニングはできます。何事も遊びに変えてしまう前向きな気持ちが大切ですね。(花ちゃん)

(2005.10.3)


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