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コラム
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消費者の目
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自家製トマトソース |
本格的な夏を迎え、我が家の家庭菜園のトマトが見事に実をつけています。できたトマトは生で食べるほか、トマトソースにしてスパゲッティを楽しんでいます。夏場といえどもスーパーに並ぶトマトの値段は1個100円ほどするので、3人前で中玉を5〜6個使い2時間近く煮込んでつくる自前のトマトソースは大変な贅沢です。 ◇ 私はトマトの芽欠きをするときの青臭いにおいが大好きで、夏野菜の栽培計画には毎年欠かさず加えています。大玉トマトには5年前から挑戦してきましたが、肥料のやりすぎで盆栽のような姿になったり、せっかく花が咲いても実を結ばなかったりと、なかなか上手く作れませんでした。肥料過多にならないように気をつけ、ナス科の連作を避けるような植え付けを心がけるなど、基本的なポイントを本で勉強する一方、トマト作りの名人に樹勢の調整方法を聞いて試してきました。 ◇ ところが、ここで困った問題が出てきました。少ししか収穫できなかった頃には大歓迎されていた私のトマトが、収穫量が上がったために家族から敬遠されるようになってきたのです。妻は、「毎週毎週、バケツ1杯のトマトが持ち込まれることがプレッシャーだ」と言うようになりました。 ◇ ご近所の皆さんは大喜びでした。お世辞かもしれませんが、「スーパーで売っているトマトを食べる気がしなくなった」と言ってくださる方もいらっしゃいました。私も皆さんが喜んでくださる声を聞くと非常に精神的に満たされます。妻は、「本当は迷惑なのかもしれないから、何度も持っていくのは止めたほうが良いわよ」と言いますが、私はせっかく作ったトマトが役に立つのなら、何とか必要としている人に届けたいと思うようになりました。規模は家庭菜園ですが、悩みは一人前です。 ◇ 十分な量がないときには皆が欲しがりますが、余り始めると誰も見向きもしなくなる。それは作物の質とは無関係です。量のないときは質の悪いものでもありがたがられる。余っている時には質が良くてもだめです。農家の皆さんは嫌というほど経験していらっしゃることでしょう。美味しいトマトが作れるだけではダメ。私のトマトを必要としている人を見つけ、どうやって届けるかを考えることが私の次の課題です。 |
(2006.8.21) |
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