農業協同組合新聞 JACOM
   
コラム
消費者の目

ロハスって何?


 最近、「ロハス」という言葉をよく耳にするようになりました。テレビや雑誌で繰り返し耳にしたり目にしたりするのですが、言葉の意味が良く分からない。私はこの「ロハス」という言葉に引っかかって放って置けなくなりました。いったい、「ロハス」って何のことでしょう?「只」という漢字を分解するとカタカナの「ロ」と「ハ」になることから、「ロハ」といえば「タダ」、つまり「無料」のことですが、「ロハス」は「ロハ」の複数形なのでしょうか?それとも、「ロハス」の「ハス」は「蓮」のことで、熱帯原産の「レンコン」の一種なのでしょうか?

 インターネットで調べてみると、「ロハス」とは英語で、LOHAS(Lifestyle of Health and Sustainability)だそうで、健康で環境を破壊せず維持できるライフスタイルという意味らしい。アメリカの社会学者 Dr. ポール・レイの研究により誕生した概念ということです。「そんなことなら、日本は昔から実践していたよ」といいたい気持ちをぐっと抑えて、もう少し調べると、あるホームページにこんな記述を見つけました。「これまでのエコロジー運動と違い、環境に配慮して我慢をするのではなく、環境によいものを選んで快適に暮らすのがロハス」と書いてあります。つまり、ロハスって「いいとこ取り」ということなのでしょうか?

 ロハスのキーワードとなっているのが、オーガニック食品、ハーブ、ヨガ、メディテーション、エコ住宅やエコ製品、ガーデニングなどだそうで、これらロハスに関連するさまざまな産業は巨大な市場を形成しています。ロハスは「ロハ(無料)」どころかお金の掛かるもののようです。「エコロジカル関連はお洒落な生活に欠かせないものになってきたのかも」という人もいます。しっかりした企業理念に基づいて環境への負荷を減らす製品開発を行っている立派な会社もたくさんありますが、流行に相乗りしているだけの商品やサービスもあり、まさに百花繚乱です。ロハスは関連する産業に翻弄されて一人歩きを始めているような気がします。

 人間が暮らすということ自体が環境へ大きな負荷をかけています。農業自体が、たとえそれが有機栽培であったとしても「自然」ではないことは、農学を学んだ人であれば常識として理解していることです。林野を開墾し、田畑にすることは自然との闘いです。飛んでくる虫を手で捕っても、雑草を手で抜いても、人の手が入るとそれはもう自然ではなく人工的な力を及ぼしていることになるのです。ロハスの目指す、快適に暮らしながら環境への負荷を減らす生活の実践は、どこかで折り合いをつけながら進めていかなければならないでしょう。その折り合いをどこにつけるのかは、企業や個人に任されているのが現状です。
 ファッションに踊らされ、うわべだけのロハス関連商品に騙されないように、一人一人がしっかりした目を持つことが大切だと思います。(花ちゃん)

(2006.9.25)



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