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コラム
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砂時計
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農業と女性
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5月29日に第24回農協人文化賞の記念パーティにお招きを頂いた。多年に亘り、農協組合運動に寄与された功績者のみなさんをお祝いする会でした。受賞者9氏のうちお一方が女性で栃木県JAはが野の仲山怜子氏が受賞されました。会場は、中高年のみなさまが圧倒的であったのは当然かもしれませんが、それにしても、来会者のなかに女性の姿がほんの数えるほどであったのが印象に残りました。
都市部のサラリーマン家庭では、かつては、専業主婦が多かったが、最近は<共稼ぎ>が増えているし、個人商店では、昔からお店を支える貴重な戦力として女性は働いてきました。農業の場合は、もっと、昔からと言うよりも、はじめから、女性はずば抜けて大きな役割を果たしてきたのではないでしょうか。それも、農作業をおこなうだけでなく農業というビジネスをする協同経営者でもあり、他の産業でいえば、農家の主婦は、株主であり、経営者でもあり、また、従業員でもあるという1人で3役を兼任、しかも家庭の管理もしてきたわけです。そう考えると、農業は男女差の無いむしろ珍しい分野ではないかとおもいます。農業界における女性の存在感は、女性が実際に果たしている役割に比較して、少なすぎる気がします。女性の声は、もっと大きくなっても良いのではないかと思います。 日本における女性の社会進出は、最近でこそ本格化してきた感じがしますが、外国に比べて大分遅れている。このことは、アメリカや中国また東南アジアに行っても感じます。中国の大きな宴会で円卓を囲むと主人役や主賓が女性であることは、特に珍しいことではありません。女性が、企業社会や行政官庁で幹部になっているからです。日本でも最近でこそ、女性の社会進出が進み、経済的に自立した女性が結婚をしたがらなくなったり、出産や育児を避ける傾向が社会問題にもなっています。 これは、とりもなおさず、社会進出のための基盤整備が遅れているから、女性は二者択一を迫られ、二兎は追えないとして家庭を持つことに臆病になるのでしょう。わが国の少子高齢化問題への対応は、最後は、移民の受け入れに至らざるをえないかもしれませんが、その前に女性の社会進出を促したほうが現実的です。 農業では、女性はすでに実際上、男性と共同経営を果たしているのですから、内助の功という謙譲の美徳を発揮するだけでなく、大いにウーマン・パワーを発揮してわが国の農業の将来のために指導的役割をはたしていただきたい。ちなみに、本紙の編集企画部長のS氏は、知る人ぞ知るとおり農業協同組合活動のために情熱をもって、八面六臂の活躍をされていることは、筆者も十分に認識しております。わが国の農業の進むべき道は、政治家に教えてもらうのではなく、お役所に監督されるのでもなく、農業の現場から生まれてきて欲しいと願いますし、中でも、女性の声と実行力に期待したい。(ジョージ) |