農業協同組合新聞 JACOM
   


《新刊紹介》 文芸社
安全性の追求は消費者とともに
『安全食品 農薬を知ろう!』
『安全食品 農薬を知ろう!』

 『安全食品 農薬を知ろう!』(鈴木啓介著、文芸社刊)が6月中旬の発刊となる。
 2003(平成15)年3月、改正農薬取締法が施行となり生産現場での農薬使用を中心に新たな段階を迎えた。食の安全・安心のためにも、今こそ農薬関係者は消費者とともに「農薬の原点」に立ち返る必要があると思われるが、本書はその「農薬の原点」に立ち返るための礎となる一書と思われる。
 1971(昭和46)年、農薬取締法が安全性の観点から大改正され、毒性の高い農薬や残留しやすい農薬は姿を消し、農薬はすっかり変わってきた。その後、30年間、農薬は常に安全性を追求し続け改良されてきた。猛毒の特定毒物は、農薬全体の約30%から0.2%、毒物も約30%から0.6%に激減している。
 著者の鈴木啓介氏は、1935(昭和10)年生まれの69歳。1957(昭和32)年東京教育大学農学部農芸化学部を卒業、農学博士(九州大学)、農林水産省農薬検査所、残留農薬研究所、JA全農肥料農薬部技術主管を経て、現在はISO農薬部会会長、植物防疫研修会および緑の安全管理士研修会講師をつとめ、本書は氏のこれまで経験の集大成とも見られる。
 農薬は「食の安全」に直接結びついている。「消費者を不安に陥れることなくリスクを未然に防止するため、農薬情報は積極的に公開され、安全性に関する各種施策の策定に当たっては消費者の意見が十分反映され、残留実態の監視過程では民間人の活力が積極的に導入されることが望まれる」(著者あとがきより)。 (2004.5.17)

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