|
特集 第50回JA全国女性大会特集号 農業の新世紀づくりのために |
地域ぐるみで始める 「子育て」の助け合い活動 ―「子どもは宝」を合い言葉に母親をサポート |
JAいわて花巻(岩手県)「わいわい子育てフリースペース」 |
◆子ども同士で遊ぶ時間 「わいわい子育てフリースペース」は毎月2回、第2、第4金曜日の午前中に開かれている。 ◆地域ボランティアとの連携が不可欠の活動 そこで明らかになったのは、「母子ともに近所に友だちがいないため孤独感がある」、「学童保育の整備がない」、「0〜3歳までは家で育てるしかない」といった子育てに悩む声だった。農業に携わっていることから家族で働き子育てとも両立できるという面や、また「畑や田んぼがよい教育の場になる」との意識もあるが、一方で子育ての悩みを多くは母親一人が抱えていることも示された。 こうした状況をふまえて地域での支え合いをめざしてスタートしたのがこのフリースペース。JAの福利厚生施設「洗心館」を利用してはじまった。 15年度の子どもの参加人数は延べ226名。親など大人の参加を合わせると398名にのぼった。16年度は昨年末までに合計414名にのぼっている。もっとも多いときで子どもの参加が20名を超え大人と合わせて40名近くになった日もある。 活動を支えているのは子育て支援ボランティアグループ「ほのぼの」だ。花巻地方振興局が開催した託児支援のための講座を受講した女性たちが4年前に立ち上げた。地域のボランティアグループの協力がこの活動に不可欠となっている。 会長の藤原幸子さんは「みんな子どもが好きで日ごろから関心を持っていた人たち。何かの役に立てればと思ってはじめました」と語る。藤原さんは若いころは保母をしていた。しかし、子育て時期は自分一人で背負ったため仕事をあきらめざるを得なかったという。「保母を続けることができずやはり心残りになっています。それもこの活動のきっかけです」。 副会長の大橋友子さんは教員をしていた。その経験から、最近、子どもの育て方が変わってきたのではないかと感じていた。「家庭での日常生活で親が子どもに手や声を十分にかけているのだろうかと思うんです。ビデオやテレビの情報ばかりに囲まれているのではと。子どもはいろいろな大人からたくさん声をかけられることを期待しているものです。いくらかでもおかあさんたちにいい刺激を与えられればと思っています」。 確かにここではいろいろな声に囲まれて過ごす時間が子どもには得られる。また、大人も世代を超えて情報交換ができる場になっている。 ◆「地産地消」テーマにJAならではの活動も 16年度からは第4金曜日に「地産地消」をテーマにしたお楽しみ会を開催している。たとえば、桜もちづくりや、アイスクリームづくり、果物パーティなどだ。地元の食材を使ったJAならではのお楽しみ会でこのときは材料費などの会費を参加者からもらっている。 ◆農家らしい生活のなかで子育てをしたい
「生活ががらっと変わり環境も違えば食べ物も違って戸惑いがありました。ただ、義父母の生活をみていると、この地方ならではの保存や加工の仕方、餅などは自分の家で作るものという生活がだんだん理解できた、自分は生活を学べる場に来たんだなと思うようになりました。自分自身の力で少しでも収入が得られるように農業ができることが夢です」。 農業の経験はないが、義父母とともに畑で種を植え作物を育てる経験をするうち芽が出たことに喜びを感じた。 「そのころから子どもたちがほんのちょっとしたことを実現できたときに、本当にうれしいと思えるようになりました。これは以前になかったこと。ちょっとした成長も楽しみになった。子どもをきちんと見る時間ができたんだなと思っています」。 自分の体験から子育て支援に求められているのは「母親としての喜びを感じられる時間をつくってあげることでは」と大和さんは思っている。
(2005.1.25)
|
特集企画 | 検証・時の話題 | 論説 | ニュース | アグリビジネス情報 | 新製品情報 | man・人・woman | 催しもの 人事速報 | 訃報 | シリーズ | コメ関連情報 | 農薬関連情報 | この人と語る21世紀のアグリビジネス | コラム | 田園交響楽 | 書評 |
||
社団法人 農協協会 | ||
|