農業を巡る状況、そして共済・保険を取り巻く環境が厳しいなかで、JA共済の長期共済は7年連続して目標を達成した。しかも目標達成率は108.9%と非常に高いものだった。また、相次ぐ台風の襲来や新潟県中越地震など自然災害が多発し、共済金支払額は過去最高の3兆6143億円に達し、「ひと・いえ・くるま」の保障を行なうJA共済としての社会的責任を果たした年でもあった。そこで、現在そしてこれからのJA共済事業について、新井昌一会長、上原寿宰理事長、梶井功東京農工大名誉教授に忌憚なく語ってもらった。 |
◆目標達成はJAの努力と組合員の期待の表れ
梶井 16年度はJA共済の長期共済新契約が、目標を大きく上回る108.9%となり、7年連続目標を達成しました。しかも3年連続で30兆円の大台に乗りましたね。昨年度は台風や新潟県中越地震など災害の多い年でしたが、JA共済としては随分頑張ったなと思いますが、昨年度の実績を新井会長はどう評価されていますか。
新井 災害に遭われた方々がこれは困ったというところで、JA共済を再認識されたことがあると思います。そして、LAの活動がかなり活発になされたと思っています。LAは、地域の組合員との接点が大変に大きいわけですから、生保などのセールスマンと違って、夕飯時でも「こんばんは」といって農家に入れる、そういう素朴な形での推進ができます。JA共済商品の優位性もありますが、LAと組合員との人間関係が、素直な形でできていると思いますね。それが、7年連続して目標を達成できた大きな力になっていると思います。
梶井 農業が厳しい環境にあるなかですから、これは大変なことですね。
新井 米が1俵1000円下がれば、共済掛金が1000円上がったくらいの負担を農家は負っています。農産物価格が低迷する大変な状況のなかで推進してくれたLAや組合員の皆さんには、本当に感謝します。そしてこれは、加入者からの「将来に向かって、これからも期待を裏切らないで欲しい」という要望の表れだと思います。
加入者の共済事業への理解と努力をされた人たちに頭が下がりますし、敬意を表したいと思います。
上原 新井会長がいわれたとおりだと思いますし、大変なご努力の結果だと思います。LAのみなさんであれば、ご家族の支援も大変だったと思いますし、目標を達成しようという熱意に感謝とお礼を申し上げたいと思います。
梶井 共済事業を産業組合としてやらなければいけないといったのが大正時代ですが、それができずにきて、戦後になってつくったわけですからね。
新井 これを切り拓いた先輩たちは本当に偉いですね。
梶井 長期共済の内容を見ると、建更が伸びて生命共済が伸び悩んでいますが、その点を上原理事長はどう評価されているのでしょうか。
上原 昨年度は建更の仕組改訂をしました。具体的には、九州など台風が多い地域では小損害がよく発生しますが、それへの保障がありませんでした。こうした小損害も担保できるように仕組改訂しました。この新型の建更「むてき」に推進力が集中したために、建更が大変に伸びました。
長期共済の場合には、建更と生命共済を一緒にして目標管理していますから、建更が伸びて目標達成できますから、生命共済などが伸びなかったということです。もう1年くらいはこういう傾向があるかもしれませんが、いずれ生命共済は戻ってくると思いますし、一時的な現象だと考えています。
梶井 現在の取り組みのなかで、生命共済が十分に伸びるという感触がありますか。
上原 ありますね。建更と生命共済の目標を別々に管理しているJAもありますが、JA共済にとっては両方とも大事ですから…。
◆農水省予算を上回る共済金支払額
梶井 共済金の支払い実績を見て、私たち素人は地震の方が被害が大きいと思っていましたが、トータルでは台風などの方が大きいんですね。
上原 地震は一定の地域に甚大な被害を与えますが、台風は日本列島をなめますし、昨年は10個も上陸しましたから、被害は大きくなりますね。16年度は、自然災害での共済金支払いが2472億円とJA共済事業が始まって以来最高となりました。
新井 会長は「JAで毎年推進しているわけですから、災害が起きたらどういう状態になっているのか把握しなければいけない。心配だったらすぐに飛んでいかなければいけない。そういう農家の目線に立った気持ちが大事だ。LAや共済事業に携わる人は、組合員の生活保障のために推進しているのであって、JA共済連やJAのために仕事をしているのではないという気持ちをもつことが大事だ」とよくいわれます。そこが、生損保とJA共済の違いであり、それが協同組合の相互扶助の精神だと思いますね。
梶井 自然災害だけではなく、共済金支払いが3兆6143億円もあるんですね。
上原 満期共済金もありますが、史上最高額です。
梶井 農水省予算よりも多いですね。しかもこれは直接、組合員に還元されるわけですからね。
新井 それがJA事業トータルとしてプラスになっているわけです。
梶井 共済金を受け取った人は実感としてあるでしょうが、そうでない人も農水省予算よりも多い金額が還元されたということを、十分に認識する必要があると思いますね。
上原 これが協同組合の相互扶助だといえますし、社会的にもかなりの責任を担っているということだと思いますね。
◆一斉推進はJA事業全体への意見・不満を直接聞ける機会
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新井 昌一 会長 |
新井 最近は、共済に対する理解度が高まり、組合長さんはじめJAでの共済事業に対する考え方が変わってきていますね。
梶井 具体的にはどう変わってきていますか。
新井 かつては信用事業と共済事業は必ずしも協調しているとはとらえられない場合も多かったのですが、いまは関係が深いこととも含めて理解されていますね。
上原 貯金をおろして共済に回してしまうから、信用事業の貯金が減ってしまうといわれたわけです。しかし、実際には共済事業が伸びているJAは信用事業も伸びていますし、信用事業が伸びているところは共済事業が伸びています。
梶井 それが正解だと思いますよ。JA北信州みゆきの石田組合長から、女性大学で着付けなどを教わっている女性たちが「私に初めて着付けを教えてくれたりしているんだから、父ちゃん、農協に少しはお付合いしなさいよ」と、会社勤めのご主人を説得してくれ共済に入った例もあると聞かされ、なるほどと思いましたが、そういう形でJAがいろいろサービスを提供していることで、共済や信用事業につながっていくと思いますね。
新井 より近くで組合員と接触しないといけないということです。われわれが、ネクタイを締めている時間が長くなればなるほど農家は離れるんですよ。
梶井 役職員がしょっちゅう組合員と接触して、組合員がなにを考えているのかをつかみながらやっていかないとね。
新井 あるところで「共済の一斉推進は、資格のない人がやるからダメだ」といわれました。私は、一斉推進に対する考え方が違うといいました。総合農協ですから、肥料が高いとか配達が遅いとか、金利が高いとか、組合員には不満や意見がいろいろあります。そうした不満や意見を一斉推進することで聞くんです。そのなかの一部として共済もあるということなんですね。それがダメだということは、協同組合の原点をはずすことだと思います。
梶井 それは非常に大事なことですね。とくに全組合員で総会を開けるような規模であれば、直接、組合員の声を聞く機会があると思います。しかし、合併して大きくなると選ばれた総代による総代会ですから、間接的になってしまい、直接、組合員の声を聞くという機会は非常に少なくなっています。だから、一斉推進というような形で直接役職員が組合員に接する機会をどうやってつくるのか、よく考えなければいけない問題だと思いますね。
新井 お互いに触れ合わなければダメなんですよ。それを資格がないからダメだという。しかし、実際には一斉推進で「あそこの家は共済に入る」という話があれば、LAにつないで、あとはLAがやるわけです。あるいはLAも一緒に回っているわけです。
梶井 共済についての専門的な話はLAがするわけですね。
上原 そういうことです。サポート推進といって、経済事業担当者であっても組合員という接点は同じですから、共済への要望があればLAが一緒に行って説明しています。いまは共済の仕組が複雑になりましたから、契約者にはLAがしっかり説明しています。
梶井 LAの方たちが組合員と話をすると「わが家の将来はどうなるのか」という話にならざるをえないわけですね。組合員が将来を見据えて何を一番問題にしていて、どういうことをJAにはやってもらいたいかを話しやすい位置にLAはいるわけですね。そこから、その地域のJAとして何に取り組まなければいけないかという、JA全体の課題が出てくる。だから、共済の推進は、共済事業だけではなく、農協の事業全体に組合員が何を求めているのかをつなげる役割も担っていると思いますね。
◆JA共済の優位性をきちんと伝えニューパートナーを獲得
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上原 寿宰 理事長 |
梶井 昨年度から「3か年計画」に取り組まれ、初年度は先ほどお話があったように、かなりの成果をあげられたわけですが、2年目となる17年度の重点的な課題は何ですか。
上原 絆(きずな)の強化とニューパートナーの獲得が3か年を通しての大きなテーマです。
いまは競争が激しくなっていますので、既存の契約者・組合員との絆を強化するために、「JA共済はこのように優れていて、ご利用いただけるとこういう利点がありますよ」という緻密な活動を強化していこうということが一点です。
梶井 生損保にいかないようにするということですね。
上原 私どもの調査によると、契約者の96%が、JA共済以外の生保や自動車、損害保険も利用しています。ですからキチンと推進していかないと、JA共済契約者でも外へ流れていってしまいます。そうならないために常に絆を強化していかなければいけないということです。
梶井 ニューパートナーというのは若い世代への対策ですね。
上原 いま被共済者数が年間40万人程度減少しています。それを分析すると、比較的若い人の契約が減ってきています。それに歯止めをかけるということです。具体的には、組合員の子弟が農村から都市へ出ると、どうしても農協と疎遠になってしまいますが、そういう人たちにもニューパートナーとして、JA共済に加入してもらおうということです。
新井 JAの場合、家族構成などは聞かなくてもおよそのことは分かりますから、組合員だけではなくて、その家族にも利用してもらえるようにしようということですね。
梶井 農家に居る若い人でもなかなか利用してもらえないわけですか。
上原 JAとの関わりは親の仕事だと考えている若い人もいますし、外に出てサラリーマンになるとJAは関係ないという人もいます。どうせ必要なら中味はJA共済の方が優れているわけですから利用してもらおうということです。
現在「JA共済しあわせ夢くらぶ」という名称でフォルダー登録をしていますが、16年度末で15年度よりも約120万人増えて、855万人になっています。18年度末には1000万にする予定です。
梶井 大変な数ですが、フォルダーの管理が大変ですね。
上原 メンテナンスは大変ですが、そのためには、例えばこの家では娘さんが結婚して家を出たというような情報は、組合員と接していなければ分かりません。接することでフォルダーのメンバーを修正することができるわけです。そういう意味でもフォルダー登録は重要な役割をもっているわけです。
梶井 親近感を持つためには、それは大事なことですが、実に大変な管理をしているので驚きましたね。
上原 生損保も囲い込みのためにやっています。JA共済の場合には、基本的に組合員ですから、組合員の保障状況は点検をすれば分かりますから、そのことを組合員にも分かってもらい、私たちも知って、これから何が必要かが分かるデータベースをつくっているわけです。
梶井 損保の自動車保険の継続時期がいつかまで把握しているんですね。
上原 自動車共済の場合、単に継続するのではなく、車両共済を付保するなど保障内容の見直しが必要な場合もありますので、そのアドバイスをするのも私たちの責任だと思っています。
◆待つのではなく、保障の必要性を提案する推進活動を
梶井 ほかに課題としてはどういうことがありますか。
上原 いろいろあります。その一つが、長期共済の保有高が減少していることです。業界の中では減少幅が小さい方なのですが、JA共済としての保障が小さくなるわけですから、なんとかしなければいけないと考えています。保有が減少している大きな原因の一つが満期になる契約が多いことです。満期になった人たちはもう保障が必要ないかというと、高齢になっても入院するとか、介護とかの保障が必要な人はたくさんいます。そういう方になんとか継続してもらうために「花満ち」がありますが、さらに充実した仕組をつくらなければいけないと考えています。
もう一つは、先ほどもお話しましたが、被共済者数が減少していることです。その原因をキチンと分析して、それへの対応を緻密にやっていく必要があると考えています。
梶井 医療など第3分野はどうなんですか。
上原 確かに保障ニーズが高まっている分野です。特に通販中心の外資系会社が目立っていますが、内容的にはJA共済も遜色ありません。
梶井 TVCMなどあれだけやられると影響力がありますね。
上原 若い人たちは30年先に満期共済金がいくらもらえるというよりも、短期掛け捨て志向が強くなってきています。そして、今入院したときの保障はどうかというニーズが医療については高いですね。また、公的年金が不安定ですから、年金共済についてもかなり関心がありますね。
とくに第3分野の医療については、取り組みを強化していかなければいけないと考えています。その中心となるように医療共済「べすとけあ」とか「がん共済」などの仕組を提供しているところです。
梶井 若い人たちの需要があるだけに外資系はそこを狙っているわけですね。在日米国商工会議所の意見書を読むと、JA共済がこの分野の商品を取扱うことは問題だと書いてありましたね。そういうこと自体が問題だと思いますけれどね。
上原 基本は、契約者・組合員がJA共済に何を求め、何を期待しているのか、そのすべてに対応していくことです。そのためには推進活動を休まず続けていくことです。実際問題として、組合員から「共済に入るから」と言ってくるケースは少ないですから、こちらから保障の必要性を具体的に説明していくことが大事なんです。
新井 生命保障の場合は特に自分から共済に入りたいという方は少ないですね。上原理事長がいうように、将来の保障を提案して一緒に考えることが大事ですね。人は迷うことがありますね。そのときに相談して安心するんですよ。
◆地域協同組合としての活動が農協の使命
梶井 准組合員制度についても問題にされていますね。
上原 農家は減少傾向にあるわけですが、農業に従事していなくても農協の活動に賛成して出資すれば准組合員になれるわけですから、JA共済の今後の展開としては、そういうことも視野にいれていく必要があると思います。また、員外利用については法律で20%を認めているわけですから、その範囲でキチンとやればいいと思います。
梶井 農協法の建前は個人加入ですが、日本の農村の実態としては家単位・世帯単位の加入だと私は考えています。だから、同じ家に住んでいて農業をやっていない人も組合員と同じだと主張していいと思いますね。
それから、准組合員についていうと、農協は職能組合だといいますが、実際には地域組合としての活動を組合員や地域の人から求められているし、それに対応せざるをえないわけです。歴史的に見ても、産業組合の時代から地域組合です。ですから地域組合としての活動は、農協の使命なんだといった方がいいと思いますね。
新井 娘さんがJA共済に加入していて結婚して、他の地域に行くと員外になってしまうんですね。矛盾があると思いますね。
◆関東大震災規模の災害にも耐えられる基盤をつくる
梶井 いろいろと厳しい状況がありますが、その中で、総合事業の一環としての共済事業はこれからどうあるべきだとお考えですか。
新井 組合員が全利用しているわけではありませんから、農協の理念を徹底して利用率を向上することで減少をくい止めることが大事だと思います。そのためには、日常活動をもう少し強化しなければいけないと考えています。そうすれば、まだまだ可能性はあると思いますね。
それからどういうことがあっても、JA共済がシッカリした基盤を築いていれば、ぜひJA共済と提携をしたいという話も外からあるかもしれません。そのときにJA共済がイニシアチブをとらなければいけないし、それができる基盤を築いておく必要がありますね。
梶井 大事なことは考え方ですね。
新井 世の中の考え方が資本主義的な効率性や能率優先になって、協同組合の理念が薄れてきていますから、そこが大事だと思います。
経営内容をみても、純資産が順調に増えてきており、有事に耐えられますから、安心して入ってもらえます。JAからはもっと付加金を多くといわれますが、関東大震災規模の災害にも耐えられる体力をつくり、加入者に絶対に安心だといえるように蓄積してきました。
つまり、考え方とやることが一致していなければいけないということです。
梶井 ソルベンシーマージン(支払余力)比率も高いですね。
上原 計画的な経営体力づくりの結果だと思います。
梶井 さらに、先ほどもいいましたが、昨年などのように農水省予算よりも多い3兆6000億円以上もの共済金が支払われることもあるわけですね。
新井 何もない時もあるわけで、その時に協同組合の考え方をキチンとしないといけないと思いますね。
上原 共済事業だけに限っていえば、保険会社が破綻するなかで、JA共済は大丈夫かというご心配をいただきましたが、まったく心配はありません。そのことをお伝えするために「安心めっせーじ」というパンフレットを800万部作り配布しました。JA共済では、共済者責任をキチンと果たすために、内部の積立基準をシッカリと守っています。
◆基本は組合員の生活保障、常にそこに目線をおいて
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梶井 功 名誉教授 |
梶井 そういう意味では、JAトップの方の責任は大きいですね。
新井 農協の役員は地区から推薦されて「あなたに一切お任せします」という委任行為ですから、信頼されなければダメなんですよ。私たちの仕事は、一度、信頼を失ったら絶対にダメですね。農村に居れば、土地も家も墓もお寺もあって絶対に逃げられませんし、自己犠牲も出さなければなりません。
梶井 JAの役員が負っている責任はそういう責任なんですね。
新井 健全性を保つためには苦労をします。そしてどうしてもダメなときには、役員が全財産を投げ出しても応えるのが責任だという覚悟が必要です。協同組合は、最後は人間の信頼関係以外に何もないと思います。
上原 共済事業は信用で成り立っていますから、一度、信用を傷つけられると10倍以上のエネルギーが必要ですね。
新井 土地をもって、先祖の骨もって逃げるわけにはいきませんからね。
梶井 そういう自覚をもってJAのみなさんは第一線で活躍しているわけですね。
上原 最近、コンプライアンス(法令順守)ということがよくいわれますが、農協の職員として誇りと自信をもち、一般的常識やモラルの範囲を自覚して、緊張感をもって仕事をしていれば、何も心配することはないと思います。
梶井 肝心なことは、協同組合として事業を行なっている。そこのところのモラルを失わないということですね。
新井 法律は当然順守しなければばならない道徳ですからね。
梶井 協同組合というのはどういうものなのか。協同組合の事業というのはどういうものなのか。共済事業は相互扶助という精神をベースにしており、他の保険とは違う、という一番根本のところの教育を、職員にも徹底してもらなわければいけませんし、組合員の方々にも、そういう事業だということを理解してもらう必要がありますね。その協同組合に関する教育を農協法からなくしてしまいました。これはいかんと私は思いますね。
上原 農協経営に効率化や収益性だけを求めると、株式会社と同じになって、主体である組合員や契約者の利便性などが考えられなくなり、目標が協同組合が求めるものと違う方向に行ってしまうのではないかと思いますね。
梶井 それはいまのJA組織が直面している大きな問題点ではないでしょうか。
新井 効率優先では、協同組合は否定されてしまいますね。
上原 共済事業の場合には、基本は組合員・契約者の生活保障であり、事業活動をしているのはJAです。そこに常に目線をおいてやっていかなければいけないと考えています。
梶井 最後にJAの皆さんへのメッセージをお願いします。
上原 昨年度は目標を達成しましたが、これが到達点ということではなくて、未保障分野がたくさんありますので、契約者がJA共済に何を期待しているのかという本当のニーズをつかみ、軸足をそこにおいてこれからも緻密にやっていくことが、結果をつくっていくことだと思います。
今年も大変なご努力をお願いすることになると思いますが、そういう意味でもお互いに頑張っていきましょう。
新井 経済の低迷や農家所得の減少など大変厳しい事業環境の中で、日夜分かたぬ推進活動を展開されておりますことに改めて敬服いたします。
今後も組合員・利用者から信頼されつづける事業運営をお願いいたします。
梶井 今日はお忙しいなか、ありがとうございました。
鼎談を終えて
このところ、テレビでうんざりするほどつきあわされるコマーシャルに、外資系損保会社のそれがある。顧客獲得に懸命なのは、むろん外資系のみではなく、国内生・損保各社の動きも相当なものである。それらとの激しい競争のなかで、JA共済は7年連続で長期共済新契約目標を達成した。LAを始め関係者の大変な努力があってであること、いうまでもない。感服した。
加えて、相次ぐ台風、中越大地震と災害が続いた昨年は、満期共済金を含めての共済支払いが実に3兆6000億円にもなったという。“相互扶助”を実感した組合員も多かったことだろう。が、事は受領者のみにとどまらない。農水省予算を上回る資金が農村に還元されたことの意義を、私どもも考えてみる必要があるのではないか。
外資系を含めての厳しい競争のなかで、ニューパートナーの獲得も容易なことではないだろう。が、会長・理事長のお話をお聞きするなかで、やってくれるのでは、という期待を私は持った。
(梶井) |