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特集 生産者と消費者の架け橋築く新生全農の役割 |
物流改革を切り口とした 県域物流移行でコスト低減 |
経済事業改革の重要な柱である物流改革は、農家配送拠点設置による広域物流、当用対応する生産資材店舗設置、大規模農家など組合員のJAへの信頼度を向上させるための営農経済渉外員制度の「三位一体の改革」として進められてきている。配送拠点も物流改革実践JAも毎年着実に増加してきている(図参照)。そこで、具体的にどのように改革は進められ、生産者からはどう評価されているのかを、JA佐城とJA佐賀経済連に取材した。 | |||||||||||||||
◆資材店舗の品揃え充実で満足度が向上
「以前は農協の生産資材店舗にきても、ハウス用の材料が少なかったり品切れで、すぐに手配ができなかったので、他所に買いに行っていた。行けばついでに他のものを買ってしまうから、JAの利用率は低くなってしまった。いまは、農業関係資材の品揃えがよくなり大概のものはあるから便利になった。土日も開いているし。だから、みんなにもそういって宣伝している」と佐賀県JA佐城の組合員・松崎逸夫さん(JA理事)はいう。 ◆JA・県域物流の一体化でコスト低減をめざす なぜ、わずか1年でここまでできたのだろうか。それには、JAグループ佐賀の物流改革に対する取り組みを振り返ってみる必要がある。 ◆JAと県域の在庫をフラット化する「物流センター標準化システム」 物流センターの設置や生産資材店舗の集約・充実などは現在、多くの県域で進められていることだといえる。こうしたハード面だけではなく、グループ全体としてソフト面での充実をはかってきたのが、佐賀の大きな特色だといえる。 ◆県域物流移行で資材店舗の機能を強化 スタートにあたっては、予約についてはすべて配送センターが担当するので、基本的にJAが在庫をもつことはなくなった。また、予約についてはすべて配送センターから戸配送されるので、JAで予約品在庫管理をする必要がなくなり、そのための人件費が削減できる。さらに予約や当用品の入力処理は配送センターが行なうので、JAでの入力業務がなくなり、事務の省力化・効率化が実現する。など業務分担を明確にし、県域物流移行による効果をだしている。 農家配送拠点数および物流改革実践JAの推移
冒頭に見た生産資材店舗・大和中央店は、県域のモデル店として、県連と連係のもとに在庫管理をしている。だから、水稲用資材が必要ない時期にはその時期に必要な資材に入れ替えるとか、一定期間ごとに販売数量をチェックして、ほとんど動かないものを入れ替えたりすることも、可能になった。そうしたチェックも新しいシステムで簡単に行なえるのだという。JAには以前から在庫管理などができるシステムがあったが「リアルタイムで見られるシステムではなかったので、必ずしも信用しきれなかった」という。
◆導入前に問題を「1つひとつ消し込んでいく」こと 新しいことを始めようとすれば、組合員や職員から抵抗があることは避けられない。JA佐城でも導入前に1年間検討し議論したという。「問題は嫌になるほどたくさんあった」という。だが「逃げたりすれば後で倍になって返ってくるから、何のためにするのか目的を明確にして説明し、問題を1つひとつ消し込んでいく」ことが大事だという。そして導入して1年、在庫が大幅に減り、収支がプラスに転じ、資材店舗の品揃えが充実して組合員の満足度が向上した結果、「佐賀県内でJA利用率がもっとも悪い方だったのが、いまは100%」になるという成果をあげている。 × × × JA佐城に次いで、今年4月にはJA富士町が、そして10月からJA佐賀市も県域物流に移行。18年度中には県内全JAで県域物流に参加する計画になっている。その日をめざして中川次長や小野原さんたちの忙しい日々が続いていく。 |
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(2005.9.29) |
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