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特集 生産者と消費者の架け橋を築くために |
シリーズ どっこい生きてる日本の農人(4)−2 |
座談会 渡邉均 JAささかみ専務 |
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◆環境保全型農業を消費者がバックアップ
今村 現場では5年先、10年先を見据えてまさにボトムアップで新しい路線をつくっていくことが大切だと私は思っています。その点でJAささかみが販売交流課というおそらく全国でもまずない部署をJAにつくったことが注目されます。この背景から聞かせていただけますか。 渡邉 今までは営農指導課が旧首都圏コープ事業連合(パルシステム)との交流活動を担ってきました。交流は昭和53年から始まりましたが最近では大変大きな事業になって年間3000万円ほどの予算が動くまでになったし、年5回の交流ツアーで2000人もの人たちが都会から来るようになっています。 今村 もうひとつ交流のために農協が中心になってNPOも立ち上げていますがこれは? 渡邉 NPOは「食農ネットささかみ」といいますがこれも村と生協とで平成16年に立ち上げました。 ◆理解を得るには「産地」の匂いが大切
石塚 産地が減農薬栽培や有機栽培などにいくら取り組んでいても、消費者から理解していただかなければ、継続的な農業というのはできないですね。そのためには産地に来てもらって見聞きすることによって笹神という産地がインプットされる。私たちがいくら東京に出かけていって説明しても現地で交流しなければ、ニュアンスというか、匂い、これは絶対に分からない。ここが大事なんですよ。 今村 価値観をどう共有するかが交流事業のポイントですね。メダカやトンボがたくさんいても、写真では本当の姿は分かりませんからね。今日も案内してもらいましたが、田んぼのあぜで実際に説明を受ければなるほどということになる。その姿に触れることに教育としての意味があるんです。 ◆価値観の共有から生産者も元気に
渡邉 それに農家自体も消費者のみなさんが何を考えているのか、何を欲しているのか、だんだん分かってくる。 ◆たい肥センターが地域農業の核に 今村 たい肥センターの立ち上げも平成3年と早かったですね。 石塚 当時の五十嵐組合長はやはり足腰の強い地域農業にしていくにはたい肥センターをつくらなければだめだという考えをもっていました。その発想があったところに、ふるさと創生資金の1億円の話が出てきた。それを村長はたい肥センターにつぎ込むという判断をしたんです。 渡邉 笹神にも商工会、観光協会もありますから、使い道にはいろいろ議論があった。しかし、この村の基幹産業は農業だ、農業のなかでも米づくりがわれわれの第一の産業だという理解が得られた。 石塚 それまですでに10年以上交流事業をやっていたわけですが、ただそれは農協と生協だけの取り組みでした。だから、農協の役員のなかにももっと取り組みを広げるには行政も巻き込んで運動を広げていかなければという考えがあった。実はその前に村が「ゆうきの里ささかみ」宣言をしたんです。その宣言によって行政もわれわれの交流事業に加わっていたからこそ、たい肥センターの建設も実現したということです。 今村 全国的には何か箱物をたくさんつくって今では持てあましている地域も多い。そういうなかでまさに先見の明があったと思います。さらに最近では農協と生協が出資して会社をつくり豆腐の製造販売をしていますね。 石塚 生産調整面積が3割を超えてここでは200ヘクタールまで大豆栽培が増えました。しかし、将来は転作助成金がだんだん維持されなくなるだろうと見通していたときに、生協から笹神は水もきれいだから豆腐を作ってみないかと持ちかけられた。 ◆歴史と生産者の思いが詰まった食を届ける 今村 交流活動と言っても別の言い方をすればこれは商品開発委員会だと思います。その商品というのもただの米としての商品ではないよ、ということですね。そこに物語、歴史、文化、さまざまなものが詰まっているということですね。 渡邉 パルシステムの組合員さんは85万人ということですから、それだけの購買層をわれわれが抱えているわけでこの村の2000ヘクタールではまったく足りないぐらいの量です。一方でJA合併について研究会が立ち上がっていて協議しているわけですが、われわれがこれまで取り組んできたことについては近隣のJAもこれを基本にして販売、交流活動をしていきたいという考え方です。 石塚 農協も生協も組織がお互いに大きくなるかもしれませんが、やはりもともとあった小さな運動からもう一度取り組みはじめるということをしないといけない。商品に中身がないと結局は扱う量が多いというだけで消費者に訴えることになる。どうやってわれわれの物語を訴えていくかということにものすごいエネルギーを注がなくてはならないと思います。 今村 今後の活躍を期待します。
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(2005.10.18) |
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