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特集 生産者と消費者の架け橋を築くJA青年部の役割 |
質も安全性も世界一という |
生産性を高め競争力を強めることが自給率の向上に
◆国産のブランド力を高めることで持続可能な農業を
グレイ 世界の人口が急速に増えていくという予測がされています。それに対して農産物を作る土地は限られているので、世界の食料というのは私たちにとって大きな課題だと考えています。 ――日本の農業についてはどのように感じていますか。 グレイ 日本の消費者の需要は他の国と比べるとユニークです。その一つが農産物の質についてです。1日1ドル以下で暮らす発展途上国の人たちが求めるものと、日本の消費者が求めるものはかなり異なります。 ――食料自給率40%ということについてはどうですか。 グレイ 他国と比べて低いと思いますが、日本の農産物の質を高めて競争力をつけることで日本農業を活性化し持続可能なものにしていくことで、食料自給率を上げていくことも可能になるのではないかと思います。そのためには、国をあげてコストを抑え安全性の高い高品質な農産物を生産するための取り組みをしていくべきだと考えます。また、日本の消費者は、日本の農産物が安全だということに自信をもつべきです。コスト面から見ると新しい技術を導入することで、もう少しコストを下げた生産が可能になると思います。 ◆コストを抑え生産量をアップすることが重要
――昨年の10月に日本に来られるまで、ニュージーランド、オーストラリアそしてアメリカなど大規模農業地域で仕事をされてきました。日本の場合は自然条件もあって規模が小さいですが、こういう日本農業についてどう感じていますか。 グレイ フィリッピンでも4年間仕事をしていました。フィリッピンは小規模農業で日本と似た形態をとっています。 ◆輸出を成功させるには日本産ブランド力を高めること ――いま日本では、高品質なものを作って輸出しようという方針をとっていますが、その可能性についてはどうですか。 グレイ ニュージーランドでは、キューウィフルーツを世界で最高の品質でもっとも新鮮だとマーケティングをし、質・供給量に信頼性があるということでブランド力を維持して他の国との競争に勝つことに成功しました。そうした方法は日本でもとれると思います。 ――日本がこれから輸出する場合にアドバイスすることがありますか。 グレイ どこの国の消費者も高品質で手に入りやすい価格の農作物を求めています。日本の農産物はいつでも世界中のお店で高品質だと評価されていますので、こうしたブランド力をさらに強化していくことで輸出を成功させることができると思います。そして、輸出のターゲットを比較的裕福な層にあてていくのが良いと思います。 ◆これからはビジネスとして農業を考える時代に ――担い手育成に対する国、農協などに対する要請はありますか。 グレイ 生産者、そして政府・農協・メーカーにとっても一番重要なことは生産性を高めていくことです。そして技術や教育研修の機会も重要です。そのために幅広いツールを農家に提供していくと同時に、日本の農産物が他国と比べて高品質で安全性も高く設定された基準に見合ったものだという信念をもつことが大切だと思います。 ――日本の場合は、決まった作物で決まった市場に出荷をしていて、作物選択とか市場選択する企業的センスが低いと思いますが、これをどうやって高めていったらいいと思いますか。 グレイ 政府や農協、指導機関さらには私たちのようなメーカーなどで、将来に向けていまとは違った形で生産者の育成をサポートする教育研修や支援を行なう必要があると思います。 ◆農協と協力し生産性の向上を支援していく ――貴社は日本農業でどういう役割を果たしていこうと考えていますか。 グレイ 日本だけではなく世界で、新規な製品とか技術開発に資源を投入しています。日本は世界でも三、四番目に大きな市場ですから、バイエルクロップサイエンスにとっても重要な市場です。日本での私どもの役割は、コストを抑えた形でのソリューションの提供ということで、日本農業の生産性の向上と持続可能なための支援を行なっていくということです。 ――農薬について常に問題視されるのは、環境汚染とか人体への影響ですが、これについてはどうお考えですか。 グレイ 法規制は早いスピードで変化していますので、メーカーとしてはそれに対応する情報を継続的に提供すること。そして農薬の登録拡大を進めて多くの作物に適用が可能にすることが重要な役割だと考えています。 ――そういう方向をめざすためにも大事なことは、生産者・担い手育成だと思います。最後に若い担い手に対するメッセージを。 グレイ 若い担い手の方たちに、日本と世界の両方の農業の問題がどこにあるのか理解してもらうことが大事だと思います。いま起こっている変化が何かということだけではなくて、新しい作物とか、新しい品質基準とか新しいチャンスがどこにあるのかを理解することも大切だと思います。 ――今日は貴重なお話をありがとうございました。
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(2006.2.28) |
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