農業協同組合新聞 JACOM
   
特集 家の光文化賞農協懇話会特集

文化と協同の力で地域づくりの拠点となるJAをつくろう
JA教育文化活動の活性化に向け
「家の光文化賞農協懇話会」が活動を強化


 「家の光文化賞」受賞JAで構成している「家の光文化賞農協懇話会」は2月9日、第6回総会を静岡市内で開催した。今回は、JA教育文化活動と家の光事業を積極的に展開するため、会員JA相互の交流、連携を強化する方針などを盛り込んだ18年度からの第9次3か年活動計画を決めるとともに、「文化と協同の力で地域に輝くJAをめざす特別決議」(別掲)を採択した。
 3か年活動計画では協同組合としてのあり方が問われている今、JAの求心力、組合員の結集力の強化が喫緊の課題となっているとの認識のもと、JA教育文化活動を基本とした活性化対策は欠かせないとして、会員JAの相互交流と連携を強化していく基本方針を掲げている。
 今回は「家の光文化賞農協懇話会」の活動を紹介するとともに、木村春雄同懇話会会長、家の光文化賞審査委員長の川野重任東大名誉教授、経済評論家の内橋克人氏に、教育文化活動と協同組合としてのJAに期待されていることなどを語ってもらった。

◆「家の光文化賞農協懇話会」とは?

17年度の「家の光文化賞農協懇話会」のおもな活動

会員JAの相互交流・研修会
−県域交流集会を岩手県(3月14日、8月3日)と宮城県(9月8日)で開催。

地区別JA教育文化活動実践研究集会
−全国6会場で開催。テーマは「協同活動強化に果たすJA教育文化活動と家の光事業」
地区別JA教育文化活動実践研究集会

家の光文化賞
JAトップフォーラム2005を開催
(8月2〜3日)

−7回を数えるこのフォーラムには220名が参加。「地域社会に貢献するJAの役割と教育文化活動の重要性」をテーマに課題提起と実践報告が行われた。また、(社)農業開発研修センターの藤谷築次会長理事が「JA教育文化活動の新しい展開方向を考える」で提言。経済評論家の内橋克人氏が特別提言「生き続ける地域社会を築く」を行った。
家の光文化賞 JAトップフォーラム2005を開催(8月2〜3日)

「子ども 食と農の教育活動」全国研究集会(11月29日)
−食と農の大切さを次世代に伝えるために」をテーマに開催。JAグループにおける食農教育の展開、食育基本法の概要説明のほか、「地産地消と学校給食」で共同研究。
「子ども 食と農の教育活動」全国研究集会(11月29日)

「農山漁村女性起業講座」を開催
−「実践編」を愛媛県と福島県で、「強化編」を熊本県で開催。
「農山漁村女性起業講座」を開催

国際交流活動
−ブラジル農協婦人部連合会へ「家の光賞」を贈呈。
国際交流活動

「懸賞論文」の募集
−「文化と協同の力」で元気なJAをめざす活動の一環として、JA役職員を対象にした「懸賞論文」を募集。3年に1回の実施。

家の光文化賞農協懇話会臨時総会
−2月3日、横浜市で開催

 「家の光文化賞農協懇話会会員」と記されたプレートが玄関などに掲げられたJAを訪れたことはないだろうか。プレートにはそのJA名と「第○回家の光文化賞受賞」と記されているはずだ。これは「家の光文化賞」の受賞を讃え、この懇話会の会員JAであることを広く知らしめ、この賞への理解を広めるために制作しているもの。もちろんそのJAの役職員がプレートを目にするたびに会員JAであることに誇りを持ち、JA教育文化活動により地域の活性化をリードするのは自分たちだ、との自覚を持ってもらうためでもある。
 このプレートは家の光文化賞農協懇話会創設20周年の記念事業の一環として平成14年から設置を始めた。
 家の光文化賞農協懇話会は、文化賞制定30周年を機に、受賞JAの相互交流、相互学習を目的に昭和57年に結成された。家の光文化賞受賞JAを中心に現在会員は165。
 主な活動は交流研修会などを通じた会員同士の相互交流とブラジルの同胞への「家の光賞」の贈呈のほか、家の光協会と共催で「家の光文化賞JAトップフォーラム」や「子ども 食と農の教育活動」全国研究集会、「農山漁村女性起業講座」などを毎年開いており、JAが地域で教育文化活動を推進するための重要な役割を担っている。
 総会は3年ごとに開かれるが、今年の第6回総会では、「10年後も元気なJA」をめざして教育文化活動に積極的に取り組むことや合併前に家の光文化賞を受賞したJAは、改めて受賞にチャレンジしよう、と呼びかける特別決議を採択した。

◆今こそ「家の光文化賞」への挑戦を

 では、「家の光文化賞」とはどんな賞なのか、改めて振り返ってみよう。
 この賞が制定されたのは昭和24年。『家の光』創刊25周年記念事業としてスタートした。ただし、そのきっかけとなったのは敗戦直後の21年に開かれた県農協中央会の家の光担当者全国会議での出席者からの提案。当時、都市は焼土と化し、農村も疲弊、混乱、虚脱の状況にあった。しかし、そんななかでも農協のなかには、敗戦から立ち上がるには「協同組合精神以外にない」と、農民の創意を引き出し、協同と団結の力で地域社会を再建しようとしている農協がある、その取り組みを家の光協会は顕彰し力づけるべきではないか、という提案が出されたのである。
 まさに、「家庭に光りを、農村に明かりを」灯す農協の役割を全国に広げようとの願いからスタートした。
 この賞が制定された当時の農協数は3万超。小規模な農協は経営が弱体化していたが、その厳しい状況のなかでも教育文化活動に取り組んでいる農協があった。経営内容とともに、生活活動、読書運動の実績、文化事業、『家の光』の普及状況といった内容が厳しく審査されて、受賞組合が決まったのである。第1回から受賞農協は『家の光』で紹介されているが、「読書・学習を黄金の杖」に組合員とともに地域社会づくりに取り組んでいることが記されている。

◆「協同する仲間づくり」をめざして

 昭和26年からは受賞組合にはブラジル・コチア産業組合中央会奨励賞が授与されている。これは敗戦後の日本の惨状を知ったコチア産業組合関係者や日本からの移住者が浄財を集めて(社)家の光協会に託したもの。家の光文化賞農協懇話会がブラジル同胞への報恩として「家の光賞」を贈呈しているのはそのためである。
 文化賞が創設されて今年で56年。これまでに延べ245組合が受賞している。床置き時計の正賞とあわせ副賞として300万円も贈呈。全国家の光大会で行われる表彰式で副賞の額が紹介されると、きまって会場から驚きの声が出る。その賞金は図書室づくりや女性大学の運営資金、農産加工場などの設立といった教育文化活動に生かされているという。
 第52回からは「JA教育文化活動がJA運営のなかに位置づけられているJA」に対して「家の光文化賞促進賞」も設けられている。
 広域合併JAの時代を迎えるなか、JA教育文化活動への取り組みによって、人々の心豊かな暮らしの実現や農業の再生につながる地域への貢献が今ほど期待されている時はないだろう。

文化と協同の力で地域に輝くJAをめざす特別決議

 組合員と地域に根ざす協同組織としての特色を生かして、多様な地域への貢献を具体化し、信頼を実現するために、JA教育文化活動が今日ほど重要になっているときはない。
 本日、第6回家の光文化賞農協懇話会総会に参加した会員JAは、変革・改革の時代にふさわしい、「10年後も元気なJA」をめざした活動を全国のJAの先頭に立って実践する。特にJAへの結集力・求心力を強化する活動の実施、食の安全・安心と農の信頼を築き日本農業の再生をめざす活動、心豊かな暮らしと生き方の追求、JAの次世代を育てる活動などをすすめるとともに、家の光事業の総合力を生かし、文化と協同の力で下記の事項について積極的に取り組むことを決議する。

1. 家の光文化賞農協懇話会会員JAは「10年後も元気なJA」をめざし、教育文化活動の活性化に積極的に取り組む。
2. 合併前に家の光文化賞を受賞したJAは、あらためて家の光文化賞にチャレンジし、地域の活性化に貢献する活動を展開する。
3. 普及文化活動の実施状況を点検し、『家の光』『地上』『ちゃぐりん』の普及活用運動を積極的に展開する。
平成18年2月9日
第6回家の光文化賞農協懇話会総会
出席者一同

 


家の光文化賞審査委員長 川野重任・東京大学名誉教授

家の光文化賞農協懇話会活動への期待

 家の光文化賞農協懇話会が去る2月9日、静岡市で開かれた第48回全国家の光大会時に開催された臨時総会の席で重要な特別決議をした。「10年後も元気な農協を」をスローガンに全国農協の先頭に立ち、農協文化活動の推進、活発化に一層積極的努力を展開するという。広域合併問題をはじめ、農協の運営問題が注目されている折の快情報である。
 由来、農業協同組合は一種の運動体である。その組織的基礎は無論、法的に一定の形のものとして制定されているが、組合員は単なる出資者、その意味での単なる経営者でもなければ、事業の単なる利用者でもない。組合の活動は信用、販売、購買、福祉、生産指導など多角的だが、その活動はそのまま組合員の日常生活、活動につながる。その意味では組合員の活動即組合の活動ともいうべき面をもつが、しかし、その様相は多元、多様、流動的であり、基本的に組合員がどのような教育文化意識、生活文化意識をもって組合運営に臨むかによる。当然、組合の運営方針としてもその観点からの評価が重視されることとなる。それが組合を運動体とする所以だが、家の光文化賞は、その意味で、特にこの2点を授賞基準として重視し、併せて家の光事業の目的達成をこれに賭けた。このようにして、これまでの受賞組合は全国で延べ245組合に及び、これらを会員とする懇話会組織が家の光文化賞農協懇話会である。それが前述のように、今回自ら全国農協の先頭に立って教育文化活動を中心に、その一層の充実のために家の光協会の協力を得て挺身するという。朗報である。
 しかし、受賞後、何十年の歳月の与える受賞組合個々への影響は一様でない。広域合併推進の過程の中、周辺農協との合併を受けて、再度受賞の栄に輝いた農協のある一方、巨大農協との合併の中に息をひそめているといった形のものも中にはないではない。
 しかし、本来、教育文化活動、生活文化活動の本質は日常、不断、組合経営者というより、組合員自ら、そしてその全員による相互教育の徹底である。広域合併、特にその過程での准組合員の増加、居住環境、歴史環境を異にする合併新組合員たちの新規結合は一層その困難を思わせるが、受賞組合、懇話会一体となっての啓蒙、推進運動の決意の表明はその将来、成果を期待させること大である。
 懇話会自体、これまでも家の光協会と協力し、各県、各地区での会員相互の交流、研修会、JA教育文化活動実践研究集会を主催、鋭意この運動の推進に取り組んできているが、この決議、決意表明によって、今後さらにその一層の充実、展開が期待される。
 また、それを心から祈念したい。道を拓いた全国の、いわば先達の組合員たちが総力を挙げて後続の組合員たちに力を貸し、ともに腕を組もうとしているのである。期待せざるを得ない。


家の光文化賞農協懇話会世話人

会 長    木村春雄(東北地区、宮城県JAみどりの代表理事会長)
副会長   綾部哲具(具は正しくは且の下に八)(九州地区、福岡県JA筑紫代表理事組合長)
監 事    松下雅雄(関東甲信越地区、神奈川県JAはだの代表理事組合長)
世話人   大塚清康(北海道地区、北海道JAくりやま代表理事組合長)
 〃     鳥山昭好(東海・北陸地区、静岡県JA遠州中央経営管理委員会会長)
 〃     田口義修(近畿地区、兵庫県JAたじま代表理事組合長)
 〃     林正照(中国・四国地区、愛媛県JAえひめ南代表理事組合長)
中央機関 前澤正一(JA全中常務理事)
 〃     飯島俊彦(JA全農常務理事)
 〃     杉山健二(JA共済連常務理事)
 〃     河野良雄(農林中央金庫専務理事)(監事)
 〃     山本昌之(家の光協会専務理事)
 〃     小橋三久(家の光協会常務理事)
 〃     柳楽節雄(家の光協会常務理事)


家の光文化賞
農協懇話会会員農協一覧

【北海道】
女満別町、ようてい、きたみらい、道北なよろ、新篠津村、峰延、美瑛町、芽室町、南幌町、あさひかわ、鵡川町、いわみざわ、道央、ふらの、栗山町
【青 森】
田子町
【岩 手】
盛岡市、岩手ふるさと、岩手南、北上市、新岩手、岩手中央、花巻
【宮 城】
栗っこ、みやぎ仙南、みどりの、あさひな
【秋 田】
秋田しんせい、秋田おばこ、新あきた
【山 形】
庄内みどり、山形、山形おきたま、鶴岡市、庄内たがわ
【福 島】
会津いいで、会津みどり、あいづ、新ふくしま
【栃 木】
上都賀、宇都宮
【群 馬】
前橋市
【埼 玉】
いるま野
【千 葉】
成田市
【神奈川】
横浜、秦野市
【山 梨】
巨摩野
【長 野】
みなみ信州、北信州みゆき、あづみ、志賀高原、大北、松本ハイランド、上伊那
【新 潟】
佐渡、越後中央
【富 山】
あおば、いなば、なんと、アルプス、いな穂、福光、高岡市、となみ野
【石 川】
能登わかば、富奥
【福 井】
若狭、福井丹南、福井市、花咲ふくい、越前たけふ、テラル越前
【岐 阜】
西美濃、岐阜市、めぐみの、飛騨
【静 岡】
清水、三ヶ日町、静岡市、伊豆の国、遠州中央
【愛 知】
あいち中央、あいち知多
【三 重】
多気郡、伊賀北部、桑名
【滋 賀】
北びわこ、甲賀郡、東びわこ、グリーン近江
【京 都】
京都
【大 阪】
高槻市
【兵 庫】
みのり、兵庫六甲、あわじ島、兵庫みらい、兵庫西、丹波ささやま、丹波ひかみ、たじま、ハリマ
【奈 良】
奈良県
【和歌山】
紀の里、紀南
【鳥 取】
鳥取中央、鳥取西部、東伯町
【島 根】
雲南、やすぎ、いずも、島根おおち、斐川町
【岡 山】
岡山市
【広 島】
尾道市、広島市、三次
【山 口】
長門大津、山口大島、下関、山口中央、山口宇部
【徳 島】
阿南、徳島市
【香 川】
香川県
【愛 媛】
松山市、今治立花、えひめ南 、うま、愛媛たいき
【高 知】
土佐あき、±佐香美、高知市
【福 岡】
田川市金川、筑前あさくら、久留米市、筑紫、にじ、宗像、福岡八女、糸島
【佐 賀】
佐城、唐津市、白石地区、伊万里市、佐賀みどり、さが東部、上場、松浦東部
【熊 本】
八代地域、菊池地域、熊本宇城、球磨地域
【大 分】
大分みどり、大分のぞみ、大分大山町
【宮 崎】
日向、西都、高千穂地区
【鹿児島】
南さつま、鹿児島くまげ
【沖 縄】
沖縄県

【中央機関】
全国農業協同組合中央会、全国農業協同組合連合会、全国共済農業協同組合連合会、農林中央金庫、家の光協

(2006.3.17)



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