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特集 「第24回JA全国大会」記念特集 食と農を結ぶ活力あるJAづくりのために |
インタビュー:日本の食と農業を守るために
JAが自給率を向上させる取り組みの先頭に
明治製菓 株式会社 代表取締役副社長 橋昭男氏に聞く |
日本の食文化の良さを見直し伝えることが重要
◆食文化がその民族の精神的土壌のベースに
――食と健康に関わるライフサイエンス事業に携わっている視点から、最近の食のあり方についてどのように見ておられますか。 橋 食をめぐる動向で、私が一番いま感じていることは、日本の食文化はかなり変わってきていますが、そのことが最近起きている悲惨な事件・事故などに見られる世相の乱れに影響しているのではないかということです。 ◆品質管理とコンプライアンスの徹底で安全・安心な商品提供
――食をめぐってはいろいろな問題も指摘されていますね。 橋 さまざまな危なっかしい事例も出ていますね。BSEや鳥インフルエンザの問題、輸入農産物の残留農薬、そして私どもも大きな被害を蒙った食品添加物の問題もあります。また、中国とかインドなどの経済活動が進展し、食生活の変化による肉類消費量が急ピッチで増大しています。 ――そうした状況のなかで御社は事業を進められているわけですが、もっとも重視されている理念はなんでしょうか。 橋 弊社は、食料と動物用医薬品・農薬を含めた薬品という二つの大きな事業で企業活動を行っています。食と薬というまさに消費者にフェイス・ツウ・フェイスで、しかも生命あるいは健康に直結する商品を扱っていますので、当然のことですが、商品の品質については細心の注意を払いますし、最先端の技術を駆使して、いかに安全で安心できる商品をお届けするかに腐心しております。これからもこの一点で事業を運営していきたいと考えています。 ――具体的にはどのようなことに重点をおいていますか。 橋 経営方針でCSR(企業の社会的責任)の徹底を掲げています。第一点は、品質管理の徹底です。二つ目は、コンプライアンスです。これは法令順守だけではなくて、社会の常識と私どもの常識がかけ離れていては存立しえないわけですから、倫理的な側面を含めています。そして、リスクマネジメント、個人情報保護や情報開示を含めた情報管理、環境、社会貢献の6分野をとくに重点分野と位置づけて委員会を設置し、その6委員会の上にCSR委員会をおき、私がその責任者となり、これらの活動を徹底して社会的な貢献をしていこうとしています。 ――食の問題としては、表示偽装という問題もありますが、こうしたことについてはどうお考えですか。 橋 論外ですね。弊社では、すべての事業活動にコンプライアンスが優先することを徹底しています。偽装行為そのものは、企業にとって命取りになります。 ◆「健康」領域で新たなビジネスモデルを構築 ――明治製菓というと「チョコレートは明治」というイメージが強いんですが、医薬品とか動物用医薬品・農薬と多角化された理由は、消費者の食や健康に関わる分野を大事にしていこうという考えからですか。 橋 そのとおりです。私どもは今年で創業90周年を迎えます。その間、お菓子から薬へ事業を広げたのは、昭和21年にペニシリンの製造を開始したときですから、これも60年の歴史があります。昭和25年にはストレプトマイシンを発売し、結核の減少に大きく寄与しました。 ――今後もそうした考えでいかれるわけですか。 橋 3年ほど前にこれからの方向を検討し「チャレンジ2005」という中期経計画を策定し、当社の主戦場は健康を中心としたフィールドだと宣言しました。それ以前から健康という領域が大きくなってきていることを感じていましたので、弊社には食も薬もありますから、両方によるシナジーを結集すれば、大きくなっていく健康という領域で貢献できるのではないかと、ヘルスケア事業を立ち上げていました。これをさらに進めて、健康という事業分野を明確に打ち出したわけです。 ◆基本的には国内農産物は個人消費につなげるべき ――農産物のユーザーとしての立場から国内産農産物についてどのようにお考えですか。 橋 自給率が低いことのほかに、お菓子では砂糖を使いますが、価格が海外に比べると大変に高いとか、コストの問題はありますね。 ――国内産の原料を使われているものもあるわけですね。 橋 北海道のジャガイモとか、青森のカシス、乳製品とかたくさんありますよ。 ――冒頭で「食文化は民族のもの」というご発言がありましたが、国内産優先でお菓子などをつくっていくという考えをお持ちでしょうか。そのために農業側は何をしたらいいと思いますか。 橋 「基本計画」で食品産業と農業の連携ということがいわれていますが、国産農産物は基本的には、個人消費につなげていくべきだと思います。 ◆自分たちで日本の食・農業を守るという自信を ――農業やJAに対するご意見とかメッセージがありましたら、お願いします。 橋 かつて農薬などを扱う仕事をしたことから、JAには親しみを感じています。個人的にも木や花や植物が大好きです。いまのJAに期待するのは、もっと元気を出して、自信をもって日本の食は自分たちで守るという意識をより強くもっていただきたいと思います。日本の食生活、日本の農産物の良さをいろいろな場面で常に宣伝して欲しいですね。そして、自給率を上げる努力をするその先頭にJAが立ってがんばって欲しいですね。 ――今日は大変にお忙しいなかありがとうございました。
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(2006.10.6) |
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