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特集 家の光文化賞農協懇話会特集 |
「家の光文化賞」受賞JAが会員となって構成している「家の光文化賞農協懇話会」は昨年2月の総会で、18年度からの第9次3か年活動計画を策定するとともに、「文化と協同の力で地域に輝くJAをめざす特別決議」を採択した。そこでは協同組合としてのJAが役割を発揮するため、JAの求心力、組合員の結集力の強化が喫緊の課題になっているとして、教育文化活動への取り組みと、会員相互の交流、連携を強めていく方針を打ち出し、同懇話会は活動を強化している。 |
組合員が求める事業活動の実現がJAの進むべき道 富山県・JA高岡
◆JAは組合員が作った「船」
平成13年に就任した穴田甚朗代表理事組合長(写真)は「JAは、たとえれば『組合員が作った船』。船長は私だが、どこに向けて船を進めるかは船を作った組合員の意見を聞いて決めなければならない。つまり、組合員の求めている事業活動を実現することがJAの道、基本だと考えている」と強調する。 その組合員の声を聞く機会を多様な形でつくっているのがJA高岡の特徴だ。 たとえば、総代会前の事前説明会、総代会、年に2回開催の集落座談会は「当たり前のこと」として、17年度からは、これとは別に年1回「組合員と語る夕べ」を実施している。24ある支店単位で開く地区別懇談会で、穴田組合長を含め3人の常勤役員が10日間ほどかけて手分けして出席、今後、JAが展開しようとしている事業、組織づくりなどについて説明し意見を聞いている。 18年度は女性総代の1割実現を呼びかけた。総代数は500名だから50名である。実は3年前にも支店単位で複数の女性総代を、と提起したが17名にとどまった。当時は否定的な意見もあったが、今回は「女性の意見を聞きたい。JAに参画してもらえればより意見を運営に反映できる。複数組合員運動も展開したい」と粘り強く話して回ったところ、批判的な声もなく十分に理解が得られたという。この夏の改選で女性理事2名を増員する方針も説明した。 また、青年部、女性部とはテーマを決めないフリートーキングの場を設けている。意見交換の場は10年以上も前からあったが、穴田組合長が就任する前には、事前の質問に対して職員が答弁を用意しておくという形式的な場になりつつあったという。それを「常勤役員間で意見調整ができていなくてもかまわないじゃないか。役員が自分の言葉で語ることが大事」(穴田組合長)とフリートーキングに変えた。 ◆目線を合わせて声を聞く
しかし、その後、経済環境が厳しくなるなか、JAも経営維持が優先課題となり、教育文化活動の取り組みも低下、それが形式的な意見交換の場への変質にもつながった。青年部、女性部からの不満も生じ始めており、「もっと目線を合わせてトップが組合員と自由に語る。そこから組合員の求めるものをすくい上げる」というのが就任時の穴田組合長の思いだった。そのひとつがフリートーキングの実施だったのである。その意味で現在の同JAの取り組みは、教育文化活動の再生の姿ともいえるかもしれない。 ◆組合員活動から事業を こうした教育文化活動を基盤に、今年4月に新たな事業としてスタートさせるのがデイサービスセンター「JA高岡『もえぎの里』」である。施設の周辺には畑を整備し、利用者には野菜づくりを行ってもらい、昼食の材料として提供する方針だ。 ◆農協とは何かを発信
また、新規加入組合員を対象にした「あなたが主役、みんなが主役、新規加入セミナー」も2年前から年に1回開催している。正組合員の世代交代が進み、最近では年に200人ほど代替わりするという。10年もすれば半数の正組合員は、農協を作り支えてきた親の代から、時代も大きく変化した子どもの代へと入れ替わることになる。そんな世代に、農協とは何か、をしっかり理解してもらう活動として重視している。 「JAを理解してもらうことももちろんだが、なぜ正組合員に加入したのか、加入した以上は何か期待や願いがあるはず、それを私たちが聞きたいのです」。 農協である以上、農業支援は当然と、生産資材価格などの引き下げは徹底した内部合理化で追求してきた。その一方で不要な購買事業などは見直し「組合員に求めるものを提供する」ことに徹してきた。 組合員の求めるものを探るには組合員の率直な声を聞くしかないが、それはもちろん対話であり、地域や組合員の「願いを引き出すこと」でもある。 それを象徴する話として穴田組合長のこんな指摘が印象に残った。 「葬祭会館を、という声も聞きます。しかし、参列する人たちもすでに超高齢者。遠くの葬祭会館に無理に集まってもらうより、昔のように自宅で葬式を出し地域の人に送り出してもらう仕組みを考えませんか、そのお手伝いをJAが考えます、と言いたいんです」。 自分たちの地域社会の暮らしをどう描くのか、教育文化活動とはそのことに組合員も役職員も気づくことでもあるのではないか。いいかえればJAの活動とはつねに「教育文化活動的」でなければならないのかもしれない。 |
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(2007.2.8) |
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