(社)家の光協会は第49回全国家の光大会を2月9日、埼玉県の大宮ソニックシティ大ホールで開催、全国から約2400名が参加し、『家の光』などの記事活用と普及文化活動の体験発表のほか、家の光文化賞表彰などが行われた。大会を通して「食と農を結ぶ活力あるJAづくり」の実践に向け、JA教育文化活動の大切さを改めて確認、協同活動による人・組織・地域の元気づくりを進めることを参加者で誓った。 |
JA教育文化活動の実践を誓う
◆JA全国大会決議の実践
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池端昭夫
家の光協会
会長 |
主催者あいさつで家の光協会の池端昭夫会長は、JAグループが昨年10月の第24回JA全国大会で「食と農を結ぶ活力あるJAづくり」を決議したことにふれ、そのなかで組合員の参加・参画意識を強め、組合員の結集力を高めるために「組合員や地域社会に向けた『教育文化活動』の重要性がうたわれている」と強調、この決議の実践に向けて「文化と協同の力で、組合員・地域住民とJAとの結びつきを強める役割を果たし、組合員と地域住民の豊かな幸せづくりに貢献していく」と話した。
また、19年度から新たな「家の光事業3か年計画」がスタートすることも紹介。教育文化活動を促進しJAの求心力・組合員の結集力強化とJAの組織基盤の拡充を支援する「幅広い事業、活動を通して、人・組織・地域の元気づくりを支援していく」などと語った。
◆農村の力、社会再生に
来賓の上田清司埼玉県知事は、消費者が食の安全・安心に最大の価値を置くようになった今、「(日本農業は外国に負けず)戦えるぞという気運が県内の農業者からも聞かれる」と強調し「今も残る農村の共同体、家族・地域のつながりは日本の教育、社会を再生する鍵。自らの地域を誇るみなさんの活動に期待します」などと語った。
JA全中の宮田勇会長はJA全国大会決議の実践には「協同組合への理解を深め結集するには継続的な教育文化活動が不可欠。家の光協会には価値ある情報を提供しJA運動を支援する役割を大いに発揮することを期待する」などと述べたほか、JA埼玉県中央会の江原正視会長も協同の輪を地域で大きく広げるために、JA教育文化活動の理解促進と相互親睦を図る意義ある大会に、と期待した。
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上田清司
埼玉県知事
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宮田勇
JA全中会長 |
江原正視
JA埼玉県中央会会長 |
◆「家の光」で人生設計
今年度の記事活用体験発表は全国のJAで835名が行った。そのなかの優秀者が都道府県の家の光大会で発表して代表者を決定。大会前日に都道府県代表体験発表大会が開かれ、記事活用の部の47人と普及・文化活動の部の12人が出場した。発表者には家の光協会会長賞が贈られた。
9日の全国家の光大会では前日の体験発表大会で選ばれた記事活用の部の6名と普及・文化活動の部の3名が発表した。
審査の結果、記事活用の部で今年度の農林水産大臣賞に選ばれたのは秋田県代表のJA秋田おばこ・田口成子さんの「いつも明るく元気よく」。
夫との結婚後、専業農家をめざし、「家の光」の人生設計夢プランを参考にして稲作ときゅうり栽培などの複合経営に取り組む。日夜、忙しく働くなか子どもとの関係が希薄なっていることに気づき、家族そろっての食事や時間を過ごすことの大切さに夫婦で気づく。「私たちの成長のきっかけにもなった」。その後、学校との関わりのなかで子どもたちへの農業体験の場をつくり、さらに発展して都会の子どもたちが訪問するグリーンツーリズムに。それが家族の連帯感を生み、家族経営協定を結ぶなど共同経営者として自覚も出てきたという。
その後、家の光の記事に刺激を受けて、女性グループで海外旅行実現をめざしてきゅうり栽培の会をつくるなど、女性部活動にも熱心に取り組むようになった。「家の光」は自分の生き方に影響を与えた。「いつも明るく元気よく」をいつまでもモットーにしたいと発表した。
普及・文化活動の部で全国農業協同組合中央会会長賞に選ばれたのはJA大阪南の高岡一平さんの「広域合併10周年を前に家の光推進を通じて組合員・地域との絆づくりを」。合併後、支店統廃合をいち早く進めたが組合員との距離を縮めることが課題となった。JAの常務となった高岡さんは「家の光」の普及によって、JA運動について理解を深めることが不可欠と職員との対話で普及活動の先頭に立った。職員との読書会なども通じ記事への理解も深め「家の光の元気をJA運営に活かしたい」などと話した。
全国大会での他の発表者は、記事活用の部で鳥取県代表・杉川一二美さん(JA鳥取中央)、徳島県代表・平岡良美さん(JA名西郡)、三重県代表・前田秋子さん(JA鳥羽志摩)、熊本県代表・新村千代子さん(JAくま)、埼玉県代表・今村華江さん(JAほくさい)。普及・文化活動の部では、神奈川県代表・遠藤浩之さん(JAはだの)、滋賀県代表・大西芳弘さん(JA東びわこ)が発表した。発表者全員に家の光協会会長特別賞が授与された。
白石正彦審査委員長は、全国的に組合員が多様化し、JAと組合員との距離が離れているなか、JA教育文化活動によりもう一度新たな関係づくりに取り組むことが期待されていると指摘した。
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(左)農林水産大臣賞を受賞した田口成子さん・(右)全中会長賞を受賞した高岡一平さん |
◆家の光文化賞にJA高岡
大会では18年度のJA普及実績表彰と家の光文化賞、家の光文化賞促進賞の表彰も行われた。
第57回家の光文化賞に選ばれたのは富山県のJA高岡。同JAは「地域に生きるJA」、「暮らしのお手伝い」を基本方針に、組合員と語る夕べ、女性・青年部との役員懇談会など組合員との多様なコミュニケーションづくりに取り組んでいるほか、協同大学などの教育活動、「畑でパート50万円運動」を合い言葉にした組合員による直売活動などの支援、といった組合員主体のJAづくりをすすめてきた。前日の祝賀会で穴田甚朗組合長は「JAとしては道半ばでの受賞。これを機にさらなる飛躍と精進をしていきたい」などと今後の決意を語っていた。
家の光文化賞は昭和24年に制定されこれまでに延べ246JAが受賞。教育文化活動の取り組みが創意工夫に富み、家の光事業がJAの事業活動のなかで明確に位置づけられ成果をあげているJAが表彰されてきた。
受賞JAには、賞状のほか正賞の床置き時計、副賞の賞金(300万円)、また「ブラジル・コチア産業組合中央会記念賞」(賞状と賞金)、家の光文化賞農協懇話会からの会員プレートが贈られる。
また、家の光文化賞にチャレンジするJAの育成を目的に、教育文化活動に総合的に取り組む姿勢を評価する家の光文化賞促進賞が平成13年に新設されている。18年度は以下の7JAが受賞した。
【家の光文化賞促進賞】
JA秋田おばこ(秋田)、JA福山市(広島)、JAあぶらんど萩(山口)、JA福岡市(福岡)、JA熊本うき(熊本)、JAあしきた(同)、JAはまゆう(宮崎)
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全国大会で体験発表したみなさん |
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