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特集 19年度の全農肥料農薬事業 |
「安全・安心な農産物づくり」のために |
◆ドリフトによる違反はなし継続して注意を喚起 ――18年度を振り返って一言でいうとどういう感想をおもちですか。 山ア 一言でいえば「大きな変わり目の年」だと思います。 ――その変わり目の一つに、昨年5月にポジティブリスト制度が施行されたことがあると思います。施行前から研修会やパンフレットやポスターの配布などを通じてドリフト対策や農薬の適正使用など周知徹底をはかってこられましたが、現在の段階でどのように評価されていますか。 山ア 輸入農産物では昨年6月から今年の1月末までに、前年の29件からその10倍を超える353件の違反事例がありました。一方、国産農産物については公的検査による基準値超過事例は例年より少なく、12件にとどまっており、ドリフトによる事例も発生していません。これは、JAグループが一体となり、行政などと協力して取り組み、また、各生産者が努力した結果が報われたものだと考えています。 ◆水田の適切な水管理を訴えパンフ作成 山ア 違反があった12件とは別に、農薬が川に流出してシジミに残留するという事例も出てきています。これについては、これまでも行ってきましたが、国に対して水産物への基準値の早期設定をより強く要請していきます。合わせて農家に対しては、水田における適切な水管理を徹底することを、先ほどのパンフレットの裏面の全面を割いて啓蒙するなど、生産者として努力できることはするように周知徹底していきます。 ――適用作物の拡大や一律基準が適用されている農産物に対する残留基準の設定が生産現場では望まれていますね。 山ア 基準値が設定されてないという理由だけで、水産業に悪影響が出たり、農作物の生産が困るような事態になってはいけないので、国に対してそういう問題は強く要請していきたいと考えています。 ◆ほぼ前年並み数量を確保したアラジン ――新生プランの一環として「コスト低減チャレンジプラン」に取り組まれていますが、肥料での進捗状況はどうですか。 山ア 原油をはじめとして肥料の海外原料も高騰しています。そういうなかで価格抑制といっても限界があるので、低コスト資材への切り替えをいっそう促進しなければいけないと考えています。そういう意味でアラジンとBB肥料の取組みを再度、強化したいと考えています。 ◆新混合剤加わり普及拡大に力を ――農薬のMY100とジェイエースはどうでしたか。 山ア MY100については、普及率1位を確保していましたが、一般的な農薬の切り替え時期ということもあって、29万4000ha(普及率17.3%)と、2位になってしまいました。しかし、引き続き最重点品目としてさらに力を入れて普及し、新たなMY100混合剤もでてきますので、36万haを目指していきます。 ◆前倒しで着実に実施されている担い手対応 ――担い手への支援が新生プランの大きな柱となっていますね。 山ア 昨年のJA大会で決議されましたように、JAグループとして担い手をしっかりと育成し、担い手を中心に集落営農もつくりあげて地域農業を維持していくというのが基本的な考え方です。したがって、基本的な組合員対応をしっかりとやって、それに加え、地域農業を担う担い手へ個別に対応していこうということです。そのために全農では各県ごとに担い手の基準を決めて取り組んでいるわけです。担い手対応は、18年度は前倒しで取り組んできましたが、これから本格的に取り組んでいきます。 ――担い手支援の一つである肥料の満車直送による担い手に実感できる価格水準の実現について進捗状況はどうですか。 山ア 前倒しでアラジン・BB・国産化成の満車直送に取り組んだのが20県で、昨年12月末の実績は約9000トンですが、3月末の見通しでは1万5000トンとなっています。19年度からは全県で取り組むことになります。 ――これは10トン車で満車ですか。 山ア 地域によって運送しているトラックが違いますから、10トン車のみとは限定せず大型車満車ということにしています。 ――農薬の大型規格品についてはどうですか。 山ア 昨年の12月にチャレンジプランの目標である40品目を設定しました。予約の状況は現在の段階で東日本の県を中心に20県連・本部から報告があり、水稲育苗箱処理剤・水稲除草剤・園芸除草剤を中心に約15億円となっています。 ――担い手向け土壌診断は19年度からの実施ですね。 山ア 19年度から全県本部で実施します。診断をするだけではなく、ほ場にあったオーダーメイド肥料による施肥設計の提案などにより、良質な農産物をつくってもらいたいと考えています。 ◆農家に分かりやすく実施結果を公表 ――価格引下げががキチンと組合員や担い手に届き理解されることが大事ですね。 山ア 全農の組織の合理化で担い手対応財源を生み出しているわけですから、それが損なわれることなく担い手に届くようにする必要があります。担い手対応をすることで、JAと一緒になって担い手に分かりやすい価格を設定することが、初めて可能になったのではないかと思います。日本の農業を守り育てていくことが目的ですから、メーカーにも協力してもらって一緒になってやってもらいたいと思います。 ――手数料の引下げも実施しましたね。 山ア 新生プランで手数料引下げを掲げました。18年度は18億円ですが、そのうち10億円が肥料農薬事業です。これは農家価格にまで反映できるように、肥料については原価が上がっていますので価格の抑制という使い方になりましたが、県別に銘柄・剤を絞り込んで手数料を引き下げました。これも初めてのことです。さらに肥料農薬では、19年度は15億円、20年度は20億円と拡大していくことになっています。 ――こうした対策を公表することは初めての試みですね。 山ア その他の対策も含めてですが、計画をたてて実際に実行し、その結果を公表するというサイクルをずっと続けていくことで、個々の農家まで分かりやすい施策になるのだと思います。これがいままでのわれわれに不足していたことだと思います。これを徹底して続けていきたいと考えています。 ◆機能分担で仕入や担い手推進機能を強化 ――いままでのお話のなかに個別に19年度の重点課題が含まれていましたが、それ以外で、肥料農薬部として19年度の重点課題としてはどのようなことがありますか。 山ア 全農としての機能強化という課題があります。具体的には、本所と県本部との機能分担と連携の強化をしていくことです。それが仕入機能の強化や担い手への推進力の強化につながると思います。 ◆IPMに対する取り組み ――IPM(総合的病害虫・雑草管理)についてはどうですか。 山ア 「地球の環境保全に積極的に取り組みます」は全農の経営理念の一つですし、環境にやさしい防除技術であるIPMは積極的に普及・推進していきます。これからの流れとして広がっていくと思います。 ――貴重なお話をありがとうございました。 |
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(2007.3.27) |
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