農業協同組合新聞 JACOM
   

特集 生産者と消費者の懸け橋になるために―JA全農「3か年計画」のめざすもの―


全農に期待すること
改革はまさに今から「もっと近くに」実践を
農業生産法人(株)ぶった農産 代表取締役社長 佛田利弘氏



佛田利弘氏

 農業生産に関わる生産物販売や資材提供等、一連の業務を担う全農は、分野別のシェアに差はあるものの日本の農業生産に大きな影響力を持っていることは、誰もが認めるところである。そのような立場であることを踏まえて、事業の基本的目的として、何をすべきかを考えて行ってほしい。
 全農が生産者と生活者の橋渡しの役割を果たすべく「もっと近くに」のコンセプトを掲げていることは意味がある。関係性の構築といっても、ただコミュニケーションを高めることを漠然とやるのではなく、全農がプライオリティ(最優先課題)として掲げた意味が、まず関係者に理解されるようにすることが重要だろう。
 全農の仕事は生産に関わる事項、コスト低減、需給調整、価格対策等広範に渡るが、それぞれの問題の基本点を具体的に捉え、取り組むよう期待したい。そのためには、その主体者である組合員を中心におく運動に高めることが「もっと近くに」の真にめざすべきことだろうと思う。
 必要なことは組合員に明確に示すこと、何が問題であるかをわかりやすく、端的に示し、理解してもらう必要がある。また、課題解決の決定について組合員に相談しながら進めることが、組合員、JA、全農が連携した改革の基礎になるのではないか。
 マンパワー、コスト等は有限だが、これらの経営資源をどう使って行くか、その仕組み作りをしっかりやってもらいたい。
 新執行体制になって、「現場に出向く体制」作りをめざすなどの新しい方針を歓迎する。環境、組織の変化をひとつの「きっかけ」と捉え、前進してしてほしい。また、情報化社会におけるITなど携帯端末の活用、団塊の世代の大量退職による新たなマンパワーの出現なども「きっかけ」と捉え、どう活用して行くかだろう。
 「変化に対応できない組織は生き残れない」ということはこれまでの歴史が語っている。ぜひ、スピード感も含めた状況に合わせ、忠実に取り組んでほしい。全農だけではなく、JAの経営者、組合員ともども変化への対応を考える姿勢が求められると思う。

◆米の集荷率確保を

 全農が19年産米から仮渡金を7000円とし、後の対応は県内に任せたことについて、集荷率の変化などいろいろな影響が出て来るだろう。系統集荷率が高い時は生産調整もスムーズに達成できた。19年度から米の生産調整が農業者の役目になったが、価格下落局面では、主体的で実効性のある生産調整のマネジメントにすることが大切だ。そのためには、JAが集荷の過半を握って行く必要もあるのではないか。
 協同組合運動は言うまでもなく一般的な商活動と違い、構成員の合意形成がとりわけ必要とされる。全農としても課題が多く大変と思うが、それはむしろやることがはっきりしているという視かたでポジティブに捉えて取り組むことを期待する。
 「改革はまさに今から」という気持ちで、組織内外への説明をわかりやすくすること、透明感のある組織になることを念頭に、新たに踏み出してほしい。

(2007.8.31)


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