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特集 「食と農を結ぶ活力あるJAづくりのために2008」 |
どうするのか日本の農業―日本農業の基本戦略を考える 図表で見る 先進国はどう自国の農業を守っているか? 米国・EUの手厚い農業保護政策 ―欧米の流れは「直接支払い」による 監修 |
農業経営の先行きが見通せる政策を実施 ◆EU−直接支払いが農業所得の7割 EU−図1現在、加盟国が27か国となっているEUの共通農業政策(CAP)の価格・所得政策は、「最低価格を下回った場合の介入買い入れによる価格支持策」、「直接支払い」、「輸出補助金」が柱となっている。EU−図1は1992年以降のCAP改革の変遷を示したものだが、EUの直接支払い制度は支持価格を引き下げる替わりに、その削減分を直接支払いに当てて所得を補てんする代償措置(非デカップリング)として導入されたことが分かる。このほかに直接支払い制度としては農村開発政策としての条件不利地域対策がある。 EUの農業者はこの改革によって市場と切り離された直接支払いによる所得補てんを受けることになった。これは農産物の生産過剰を抑制するために生産を刺激する政策の削減という現在のWTO協定につながる当時のウルグアイ・ラウンド農業交渉を背景にした政策転換だった。が、1995年前後は国際価格が上昇していたこともあって図にみられるように生産者には結果的に有利になった。 その後、加盟国増加にともなう財政負担増や、WTO農業交渉を背景にして、さらなる支持価格の引き下げが行われ直接支払いに振り向けられた(アジェンダ2000改革。直接支払いの引き上げ分は支持価格削減分の半分)。 そして2003年に合意されたCAP改革では支持価格引き下げの代償措置としての直接所得補償支払い(第1の柱、EU−図4参照) 生産高ベースではなく、大部分を農場単位の「単一支払い」に転換した。また、農村開発の助成部分(第2の柱)にも振り向け、生産要素と切り離した政策=「緑」の政策への移行を図っている。単一支払いの受給者には環境・動物保護などの分野で最低基準の約束遵守を義務づけた。 こうした一連の改革によってEUの農業予算構造は大きく変わった(EU−図2)。また、農業純所得に占める「単一支払い」の割合は45.6%となっているばかりでなく、直接支払い全体で77%に達する(EU−図4)。 ただし、直接支払いが農業予算の7割近くを占めるようになったとはいえ、EU加盟国機関が買い支える価格支持制度はなくなったわけではなくきちんと残されている。市場支持のための予算が06年でも17%を占めている。また、国際価格で販売するための輸出助成金も30億ユーロが確保されている(EU−図3)。 EU−図5は、直接支払いの受給経営数でなど。もっとも多いのが、5000〜1万ユーロ層であることが示されている。1ユーロ160円とすると80万円から160万円の受給層だ。出典の同書によると05年の単一支払い水準は1haあたり357ユーロとされており、この層の経営規模は14ha〜30ha層と推定される。一方、受給総額がもっとも多い階層は5万〜10万ユーロ層で経営規模としては140ha〜280ha程度となる。単一支払いは大規模経営層にとって有利に働いてはいるが、この図からは中小規模の経営体も幅広く直接支払いの対象になっていることが分かる。
◆米国−穀物の目標価格を3つの制度で保証 米国の穀物に対する補助金の仕組みを示したものが上の米国−図1である。ここでは日本のコメの価格を例にして作成した。 ◆米国でも高い補助金依存度 米国−表1、2は米国の農業経営に政府支払いがどの程度を占めるかを分析したものだ。表2にあるようにイリノイ州のトウモロコシ平均経営で政府支払い依存率は03年から06年の4年平均で35.4%、カンザス州の小麦の複合経営で同52.0%、アーカンソー州の米の複合経営で同66.0%と高い。とくに05年のアーカンソー州経営では政府支払い依存率は274%と農業所得の約3倍だったことが示されている。現金粗収益水準は他の年と同程度の水準であり、農業所得の3倍近い政府支払いなしでは経営が成り立たなかったことを物語っている。 |
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(2008.1.22) |
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