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特集:農業・農村に“新風を送る”JAをめざして

2003年 第23回JA全国大会をめざして
開かれた組織、真の実践を問う大会に
JAみどりの(宮城県) 木村春雄代表理事組合長

 来年秋には、21世紀最初となる第23回JA全国大会が開催される。今回は大会議案の検討審議機関をJA改革推進本部委員会とし、その初会合が10月3日に開かれた。今後、JA改革推進会議などで具体的な検討が重ねられ来年3月末には組織協議案を決定する予定だ。来年の大会の課題についてJAみどりの木村組合長とJAとぴあ浜松の松下組合長に語ってもらった。

木村組合長
木村組合長

 「農と共生の世紀づくり」をテーマとした第22回の大会決議はこれまで一定の成果は出ていると思います。そのなかで全体としてみればJA改革も進んできたといえるかもしれない。
 ただ、これはわれわれが自己本位で組織のあり方を変えてきたのかといえば必ずしもそうではなく、社会の情勢によって改革を進まされたという面もあると思いますね。ですから、改革はそれなりに進んだかもしれないがわれわれに主体性はあったのかどうかが問われていると思います。
 こういうなかでJAとしての課題を考えると、広域合併JAが80%以上占めるようになったわけですが、合併で抱えた課題整理に追われて合併の効果が十分に出ているのかどうかという点があると思います。
 来年の大会は、「実践的かつ開かれた大会」をめざすということですがいいことだ思います。ただ、いいことですが、謳い文句に終わらないように確実に実践しなければならない。それにはトップ、役員、職員がどう変わるかです。
 私はJAというのは「安心」を売る事業体だと思う。組合員に対しても社会に対しても。農産物はもちろん、信用事業でも共済事業でも安心をメインにしなければならない。そうでなければ信頼は得られないということです。ですから、役職員のコンプライアンスは最重要課題です。やるべきことはきちんとやり、やってはいけないことは絶対にやらない。
 最近は、トップマネジメントということが強調されますが、私はトップマネジメントとは組合長や常勤役員だけではなく、役員全員、さらには幹部職員も持つべきことだと考えています。職員も含めて自己啓発し、しっかり事業に取り組む。そのうえでJAは、自己責任を持つことが求められていると思います。
 私はそれぞれがこのような広域合併JAづくりをして、それがJAグループの中心になるべきだと思っています。持論ですが、これまでのピラミッドを逆にすべきだということです。頂点に広域合併JAがあり、中間に県連、そしていちばんの土台部分に全国連があるというように。JAの事業がよくなれば県連も全国連もよくなるんですから。
 また、改革のためには批判に向き合うことも必要です。批判に対して議論し、課題を解決するためには何をすべきかを話し合って、認識を共有することで方向性が出てくる。外部に対して、「勝手にやっていること」などという認識は、「だから、農協は…」と一般社会から乖離した組織のような印象を与えることになる。
 たとえば、自給率向上を、と唱えるだけではなくどう実践するか。次世代にきちんと食べてもらうことがなによりも大事だと考え、私のJAではラジオや広報紙を通じて、地域で頑張っている生産者や子どもたち、消費者などにも登場していただきながら、農産物について理解を図っています。中でも私は、食農教育を15年度の事業の一環として明確に位置付けて、活動展開していこうと考えています。自給率の向上・消費拡大は、生産現場にとってはメインテーマだと思います。
 広域JAの組織力をどう構築するか。それが課題ですし、私たち自身が農協と農業、農村のあり方をつくりあげ、国民の理解を得ることが求められています。無登録農薬問題などが明らかになり、今度は、いわば追い込まれたなかで開く大会です。だからこそ、本当の実践に向けての大会にすべきだと考えています。


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