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【クミアイ化学工業】
単一成分による雑草防除を実現

10a当たり6.7gという低薬量で高い防除効果

挨拶する望月社長(中央)。農薬開発のコンセプトを披露した 安全・安心で社会・市...

挨拶する望月社長(中央)。農薬開発のコンセプトを披露した
挨拶する望月社長(中央)。
農薬開発のコンセプトを披露した
安全・安心で社会・市場ニーズに対応
安全・安心で社会・市場ニーズに対応

 クミアイ化学工業(株)(望月信彦社長)は6月10日、東京都台東区の本社で記者会見を行い、自社創製の新規水稲用除草剤「ピリミスルファン」の開発状況を明らかにした。単一成分による雑草防除を実現するもので、10a当たり6.7gという低薬量で高い防除効果を発揮する。
 本剤の唯一の有効成分である「ピリミスルファン」は、同社とイハラケミカル工業の共同開発により創出された全く新しいタイプのスルホンアミド系の除草剤。
 難防除多年生雑草や近年問題化しているSU(スルホニルウレア)剤抵抗性雑草に対しても極めて有効と見られている。
 さらに、水稲用除草剤の分野でもっとも汎用性の高い一発処理剤において、これまで成し遂げることのできなかった単一成分による雑草防除を可能とする画期的な除草剤に仕上げられている。
 雑草発生前からノビエ3葉期まで使用でき、さらにホタルイ、ミズガヤツリ、ウリカワについても3葉期まで防除が可能であるため、処理適期幅が広く余裕をもった防除作業を可能にする。
 本剤は、「ピリミスルファン」の効果を無駄なく最大限に発揮させるため、これまでにない高度な製剤技術(ハイブリッド・リリース技術・注)を駆使することで、単一有効成分の水稲用一発処理剤を実現した。
 「ピリミスルファン」を含む水稲用除草剤の開発は(下表)の通りで、単剤の『ベストパートナー1キロ粒剤』、混合剤の『ヤイバ1キロ粒剤』が先行している。
 (注)ハイブリッド・リリース技術 化合物の最適溶出パターンを得るため、複数の制御技術を単一の製剤に組み込んだクミアイ化学独自の製剤技術。
【解説】
 記者会見席上、望月信彦社長は「有効成分で効果の高い製品、作物や人畜との選択性が高い製品、低有効成分で効果の高い製品、安全で安心な微生物農薬、使いやすく環境負荷の少ない製品に焦点を当て継続的な農薬開発を続けている」と、同社の農薬開発のコンセプトを披露した。
 「ピリミスルファン」はこれらのコンセプトの集大成とも見られ、日本国内で上市されている水稲用除草剤が達成し得なかった高い付加価値を有する次世代の除草剤と目されている。低成分・低薬量を実現したことで、減農薬栽培や環境負荷低減という社会的ニーズに対応していく。
 販売目標は、上市3年後には、「ピリミスルファン」剤全体で水稲一発処理剤普及面積160万haのうち35万ha、同社水稲一発処理剤としてトータル60万haのシェア獲得を目指し、品揃えの拡充も含めさらなるシェア拡大をはかっていく。
 なお、その他の開発製品としては園芸殺菌剤「ピリベンカルブ」(KIF−7767)、畑作除草剤「ピロキサスルホン」(KIH−485)、水稲除草剤(KIH−1419)などが進められている。

(2008.06.11)