オペレーションには作物はもとより、人(生物)、環境など安全への思いも込める |
(社)農林水産航空協会(以下「農水協」)、全国産業用無人ヘリコプター推進協議会(以下「協議会」)主催による『第17回全国産業用無人ヘリコプター飛行技術競技大会』(以下「競技大会」)がさきごろ、茨城県水戸市の農水省農業技術研修館で開催された。
競技大会が目指しているのは、産業用無人ヘリコプターによる諸作業の推進と安全運行の啓発に努め、効率的かつ安全な作業の実施に寄与するとともに、会員相互の情報交流をはかっていく、といったもの。上記の農水協、協議会の取組みに農水省も全面的にバックアップしている。
今回、競技大会に臨んだのは全国で約1000ペア(オペレーターと合図マンで1ペア)が参加した地方予選を勝ち抜いた76ペアで、いずれもハイレベルな飛行技術を身につけた強者揃い。
「日頃の行いが良いせいか? 今大会も快晴に恵まれた。これまで地道に培い、磨かれ、かつ蓄積された飛行技術を十二分に発揮していただきたい」、と両団体をまとめる関口洋一会長が大会参加選手に激励の挨拶。選手もこれに応え、広大な研修館内ほ場で日頃の鍛錬をいかんなく披露した。
競技大会では農薬ではなく、もちろん「水」の散布だ。「各コース間に水を散布しながら左方向2往復、右方向1往復の標準散布飛行を行い、飛行の安定度と技能の精度などを競う」というのが競技内容。
スタートおよびフィニッシュラインからエンドラインまでの距離を80mと設定する中で、(1)15km/時の飛行速度、(2)3mの飛行高度(地上・高度位置は散布装置のブームとする)、(3)7.5mの飛行間隔、(4)スタートおよびフィニッシュラインとエンドライン間の手前旋回をしてはならない、(5)着陸においては、機体をヘリポート上空3mまで移動させ確実にホバリング、など極めて実践にそくした条件で競う。
農水大臣賞は、秋田県の藤枝誠、雲雀明徳ペアに輝いた。
うまく飛んでくれよ | 点検整備が基本 |
【解説】
競技者を見守り、応援する選手たち |
いま、産業用ヘリによる農薬散布は有人ヘリから無人ヘリにシフトしつつある。無人ヘリ散布の一番のメリットは、作物(有人ヘリでは、マツクイムシなどの森林防除などで総合的に有効)への局所(ピンポイント)施薬による農薬効果の最大化はもちろんのこと、人(生物)や環境などへの影響回避にある。
農水省を中心とする行政はいま、「農薬行政の刷新」に動いている。2002年7月、山形県において無登録農薬(ダイホルタンおよびプリクトラン)を販売していた業者が逮捕された。「刷新」の原点はここにある。
そして、ポジティブリスト制度の導入の中で、農薬のドリフト(飛散)が問題となった。現在、業界は飛散軽減・防止ノズルの開発に加え、特殊農薬の開発も進めており評価したい。