農薬工業会(井上克信会長、本部:東京都中央区、74会員)の『平成20農薬年度出荷実績』がまとまった。国内全農薬市場に対するカバー率は、約95%。
9月累計出荷では数量22万1000トン(前年度比4万1000トン増、101.9%)、金額3284億円(同129億5000万増、104.1%)と、数量金額ともにやや増加した。
使用分野別に見ると、果樹(107.7%)・野菜畑作(102.4%)・その他(110.1%)の数量および水稲(105.6%)・果樹(105.9%)・その他(110.3%)の金額がややないしかなり増加した。他は、ほぼ前年並みだった。
種類別で見ると、殺虫剤(数量102.4%、金額107.1%)・除草剤(同106.6%、同109.6%)・殺虫殺菌混合剤の金額105.7%がややないしかなり増加した。
いっぽう、殺菌剤(同96.6%、同93.8%)・植調剤(同96.0%、同91.4%)の数量・金額がややないしかなり減少している。
なお、殺虫殺菌混合剤の数量は、100.2%と前年並みであった。
農業分野では、代替燃料としてバイオエタノールが注目され、世界的には穀物生産の拡大、穀物価格のアップにより世界的な農薬需要は好調に推移しているが、国内では石油、肥料など農業資材価格の高騰を農産物価格に転嫁できず、農家はもとより農薬流通業界にとっても厳しい状況が続いている。
今、国は農薬行政の刷新に動いている。消費者の関心が「食の安全・安心」に傾斜する中で、農薬業界もポジティブリスト制度への対応、IPM(総合的病害虫・雑草管理)およびGAP(農業生産工程管理)など直面している諸問題に積極的に取組んでいるが、21年はこれら諸問題がこれまで以上に身近なものになってくる。楽観は許されない。