問題解決型の除草剤」だと語る 小??根社長 |
協友アグリ(株)(小??根利明社長、本社:川崎市高津区)は1月19日、東京都港区の虎ノ門パストラル ホテルで新規除草成分ピラクロニルを含有した水稲用除草剤8種・17製剤の上市記念記者発表会を開催した。問題解決型の除草剤として期待される。
ピラクロニルの開発は、ドイツ・シェーリングAG社(現・バイエル クロップサイエンス社)がピラゾリルピラゾール環を有する化合物群から水稲用除草剤としての適性を発見したことから始まる。
新規の化合物で、協友アグリ(株)の前身母体である八洲化学工業(株)では本成分の優れた多くの特性に着目し、2002年に権利を取得し開発を進めてきた。作用としては、雑草の茎葉部に褐変や乾燥を引き起こし枯死に至らしめる。
活性の発現には光が必要で、筑波大学との共同研究によるノビエ、キュウリを用いた各種生化学試験の結果から作用はプロトポルフィリノーゲン−IXオキシダーゼ活性阻害(PPO阻害)と考えられている。
挨拶に立った小??根社長は、ピラクロニルは「JA全農と弊社の共同開発により生まれた新規除草成分」だと披露し、「1成分でヒエはもちろんのこと、広葉雑草、さらにカヤツリグサ科雑草まで幅広い効果を示す。特に、コナギ、オモダカといった、現在問題となっている雑草に対して非常に優れた効果を示す」と、本剤の横顔ともなっている特長をアピール。
さらに、「全国的に問題となっているSU(スルホニルウレア)抵抗性雑草に対しても同様に優れた効果を示す」特長をも重ねて強調した。非常に速い発現の効果、温度による効果の変動が少ない、環境に対してやさしい、などの特長も見逃せない。
なお、発表会には取扱会社である(株)エス・ディー・エス バイオテック、三共アグロ(株)、住友化学(株)、日産化学工業(株)、日本農薬(株)、北海三共(株)の担当者らが駆けつけ、それぞれが取扱う製品の普及方針を中心にピラクロニルに寄せる期待と抱負を語った。
【JA全農肥料農薬部・上園孝雄次長の話】
「組織一丸となりサポートしていく」と 上園次長 |
「ピラクロニル」は、非常に幅広い殺草スペクトラムを特長にもつ新しい除草剤であり、現在水田の雑草防除において大きな課題となっている問題雑草やSU抵抗性雑草対策に貢献するものとして大きな期待を寄せている。
JA全農は、ピラクロニル原体の共同開発者として、また、製品の流通者としての両方の立場にあり、この両面から本剤の普及推進に組織一丸となりサポートしていく所存でいる。大型品目に育成し、系統農薬事業のシェアアップをはかっていきたい。7社との強力な連携のもとに、目標の早期達成を目指していく。
【解説】 09年1月現在の各ピラクロニル混合剤のラインアップは表の通り。初期剤、初期一発剤、初・中期一発剤の8製品・17製剤にカウントされるが、初期剤でピラクロニル単剤の『兆(キザシ)』は、住友化学(株)取扱いの商系での製品名。 今、全国的な規模で水稲農家はコナギ、オモダカなどの問題雑草やSU抵抗性雑草などで困っているのが実情だ。20年以上にわたりSU剤が使用され雑草の草種が変化してきていることも事実。 これらの背景のもと、ピラクロニルは現在の日本の水田にもっともマッチした除草成分として登場した。換言すれば、時代背景と成分がフィットしたものだとも言える。田植同時散布、難防除雑草への登録・地域拡大も期待されている。 この分野に豊富な経験をもつ7社が連携し、数年後の普及面積30万ha強を目指していく。問題解決型の新世代の水稲用除草剤との印象が強い。 |