日本ミルクコミュニティ(株)と雪印乳業(株)は、6月開催予定の株主総会の承認を前提として、平成21年10月1日付けで株式を移転し、共同持株会社「雪印メグミルク株式会社」を設立、経営統合することを決めた。
両社の経営統合については、1月27日、東京・新宿区の雪印乳業本社大会議室において、雪印乳業(株)の高野瀬忠明社長、日本ミルクコミュニティ(株)の小原實社長が出席し、経営統合に至る経緯や、酪農乳業業界を取り巻く事業環境などを記者発表した。
昨今の世界的な資源・食料価格の乱高下やそれに起因する国内酪農生産の停滞により、生乳・乳製品需給ギャップが拡大しており、食料消費では、食の安全・安心に対する意識や、健康志向の高まりなどもあり、消費者の食に対するニーズが多様化してきている。消費者意識・行動の変化や国内酪農基盤の安定と食料自給率向上が社会的な課題となる中で、今回の経営統合により誕生する新しい企業グループは、消費者および酪農生産者と共に<「乳」(New)コミュニティ>を育んでいくことになる。
以前から、日本ミルクコミュニティ(株)と雪印乳業(株)は、事業連携を行ってきたが、急激な事業環境の変化に対応しつつ、成長戦略を着実に実践していくことを目的に、連携強化について協議を続けてきた。
両社には研究開発、原材料調達、商品開発、生産・販売の各段階で相互補完関係にある事項が多い。それをさらに強化し、これまでの両社のブランド戦略や営業展開については、双方の長所を採り入れ、「カテゴリー・ナンバーワン」戦略を展開していく。
もともと雪印乳業は、バター・プロセスチーズ・ナチュラルチーズ・マーガリンでは国内トップのシェアを持っている。日本ミルクコミュニティは、牛乳・乳飲料で国内2位、ヨーグルトが国内3位、天然果汁では国内トップのシェアがある。各カテゴリーでも相乗効果により、トップ企業になることを目指していく。
記者会見で、雪印乳業の高野瀬社長は、「これまでも日本ミルクコミュニティ(株)とは事業連携をしてきたが、今日の酪農乳業業界は未曾有の困難に直面している。それに対応するするため、協議を続けてきたが、経営統合に至った。今回の統合は、新しい出発点に立ったもの」と述べた。
日本ミルクコミュニティ(株)の小原社長は「統合によるシナジー効果を発揮し、酪農乳業の需給安定を図っていく。また、雪印の研究開発機能と一体となり、商品開発をしていく。多くの企業が生き残りをかけ、変化を先取りする努力をしているが、市乳と乳製品の一体化が必要となる。強固な生産基盤を持った日本一の市乳・乳製品会社となることを目指す」と語った。
「経営統合のシナジー効果で、5年後には170億円の利益拡大をねらう」と抱負を述べる両社長。
(左から)高野瀬忠明(雪印乳業社長)、小原實(日本ミルクコミュニティ社長)
◎新会社概要
・商号「雪印メグミルク株式会社」
・設立 平成21年10月1日(予定)
・本店所在地 北海道札幌市東区苗穂町6丁目1番1号(登記上本店)
・本社 東京都新宿区本塩町13番地
・資本金 200億円
○代表取締役予定者
・代表取締役会長 小原實(日本ミルクコミュニティ(株)代表取締役社長)
・代表取締役社長 高野瀬忠明(雪印乳業(株)代表取締役社長)
・統合方法 株式移転による共同持株会社設立