同システムは、組合員(卸問屋)とメーカー間の受発注を従来の電話やFAXによる個別注文からITによる一元化を実現したもの。誤発注や入力ミスを減らし、事務処理の合理化や効率化などの業務改善に役立っていると評判だ。
全農薬は業界全体としてIT化が遅れていたとの懸念から、統一的システムの構築を目指した。そこで01年から独自にIT化を進めていた住友化学が「各メーカーが独自でシステムを開発・普及するのは効率的ではない。業界全体で統一したシステムを構築することが必要だ」との考えから、自社のシステムを提供し、それをベースとして07年10月1日に現在のシステムが始まった。
当時は利用組合員34社、メーカー3社だったが、現在は組合員46社、メーカー6社(住友、日産、シンジェンタ、日農、明治、バイエル)が利用している。今秋にも組合員数は50社、メーカー数は8社になる見込みで、2年間で当初の目標数に達する勢いだ。
全農薬(事務局)では「将来的には同システムで商品情報を共有し、流通に関するコストの削減や合理化などをめざしたい」としている。
◆利用者の声
(メーカー)シンジェンタ
「注文1件あたりの処理時間が8分34秒から、6分8秒に軽減された。システムによる受注受付も予想を上回って伸びており、今期中に7割に達しそうだ」
(同)日産化学工業
「受注入力の間違いが減り、受注と出荷などにかける労力が85%に減った。今後は、農薬だけでなく他の資材分野に拡大することも可能だろう」
(組合員)松木三男(全農薬理事長)
「メーカーごと別々のシステムに対応するのが困難だったが、全農薬が受け皿になってくれた。業界全体を盛り上げるために、将来的には販売先とのIT化を進める方向も視野に入れている。また周辺事業分野(肥料・資材)メーカーでもこのシステムを導入するようにしていきたい」
(同)大森茂(全農薬IT・広報委員長)
「これからは、お互いの利用価値をより高められるように利用者間で意見交換を進め、利用を拡大したい。Googleを使った情報系サービスも検討している」