1983年に東京で第1回を開いた姉妹会は、今回で25回め。その前年、台北市で行われた台湾農薬工業会創立20周年記念式典の席上で、姉妹会創設の提案がなされたことから始まった。
その後、3国は優先課題として、農薬に関する安全対策、環境保全対策、植物防疫に関する技術対策などに取り組み、実質的な成果をあげてきた。
途中、工業所有権の保護など困難な課題にも直面したが、物質特許制度の導入、GIFAP(現在のCrop Life International:世界農薬工業連盟)への参画など、積極的な国際化対応をはかり、今日に至っている。
開催国としてあいさつした大内会長は「姉妹会で消費者対応、農薬の安全使用、関連行政に関する情報の共有化は極めて意義がある。各国とも厳しい状況にあるが、本会議を通してみなさまと緊密に意見交換ができるこの機会を有意義に活用したい」と、3国農薬工業会のさらなる発展を祈念した。
韓国、台湾の代表らは「25回の姉妹会開催をともに喜びたい。四半世紀という長い歴史の中で、3国は多くの友好を深め、実質的に農業の発展に貢献できた」(韓国植物保護協会の廉炳晩会長)、「3月からの就任で日本、韓国の取り組みを模範としたい。今年は50年来ともいえる未曾有の台風(8号)被害に見舞われたが、農業の活性化に弾みをつけていきたい」(台湾区植物保護工業同業会の廖年亨理事長)と、述べた。
◆3国間のさらなる情報共有化と連携を
会議では、3国からそれぞれの農薬情勢が報告された。ともに農薬需要の減少傾向の中で、農薬行政の刷新や見直しが進んでいる。
【韓国】
韓国では、登録取消候補農薬の再登録が問題になっている。
登録農薬のうち、EU指令(91/414)Annex?に収載されなかった農薬(35成分)について、農村振興庁が登録取消候補として検討中だという。
登録の継続には、追加データが求められる模様。植物保護協会では、韓国とEUでは諸条件が異なることから、EU規制に追随することに反対し、農村振興庁と折衝中だ。
(写真)韓国代表者
【台湾】
台湾では、作物群の新設とほ場試験(薬効、残留)基準の改定があった。作物群については代表作物リストを作成した。
改定の目的は適用拡大の促進とマイナー対応、農産物の品質と安全性の向上、過剰散布の回避、未登録農薬の使用回避などだ。農業委員会(作物群)と衛生署(グループMRL)の連携の欠落があった。
(写真)台湾代表者
【日本】
農薬登録行政・データ要求の見直し、農薬残留基準値(MRLs)の国際調和の必要性などが挙げられる。
特に、3国のポジティブリスト(一律基準)抵触による農産物の陸揚げ差し止め回避のため、基準値の設定に向けた相互協力の必要性を確認した。必要に応じて、ワーキンググループの開催も検討されている。
次回の姉妹会は2010年10月14日〜15日、韓国で行われる。