◇飛散リスクを軽減
「使いやすく、環境負荷の少ない製品」をコンセプトにした農薬開発を推し進めるクミアイ化学。望月社長は、「いっそう環境保全型農薬を推進し、安定した食料生産に貢献していきたい」と研究開発のコンセプトの一端を披露した。
同社はこのたび、「環境保全型農薬の開発普及に尽力」した功績で、日植防から表彰を受けた。対象は「豆つぶ剤」、「微粒剤F」、「エコシリーズ」、「クリーンシリーズ」の一連の環境負荷の少ない製品。
「豆つぶ剤」は、ポジティブリスト制度の施行にともない懸念されているドリフト(飛散)のリスクを軽減できるユニークな製剤。除草剤「トップガン」、殺菌剤「オリブライト」、殺虫剤「スタークル」などに採用している。
(写真)祝辞を述べるJA全農の上園次長
◇微生物農薬にも着目
「微粒剤F」は、63〜212μmの砂状の粒子からなる、粉剤と粒剤の中間に位置づけられる剤型。基剤には硅砂などが用いられており、その表面に農薬成分がコーティングされている。
「サジェスト微粒剤F」、「ビームスタークル微粒剤F」、「ビームアプロードスタークル微粒剤F」の3剤を揃えた。10年により現場に近いところで展示圃試験を行い、11年(平成23農薬年度)からの上市を目指す。
微生物農薬の「エコシリーズ」は、使用成分回数にカウントされず、有機栽培・減農薬栽培などに使用可能な環境保全型農業に適した資材(新JAS法)。
JAグループが進める安全・安心への取り組みと連携して普及展開が行われている。水稲用の「エコホープ」、「エコホープDJ」、園芸用の「エコショット」、「エコマスターBT」などラインアップが加速している。
「クリーンシリーズ」は、環境保全型農薬である「エコシリーズ」と化学農薬の特長をほどよく融合させた「ハイブリッド農薬」。
微生物農薬と化学農薬の特性を最大限活用している。「クリーンサポート」が先行登録となり、現在、「クリーンカップ」、「クリーンフルピカ」を開発中。
会見には農水省、日植防、全農の主だった関係者が駆けつけ、同社の環境保全型農薬開発への取り組みを高く評価した。
全農肥料農薬部の上園孝雄次長は、「一連の、環境保全型農薬開発に対し敬意を表する。ドリフト問題など農薬使用において、現場ではまだまだ緊張感が見られる。その意味で、今回の新製剤はグッドタイミングだった。国、県、指導機関、JAグループが一体となった普及展開がのぞまれる」と結んでいる。