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【ツン・ラム社】
キャッサバ由来のバイオエタノール 日本向けに年間6万t  ベトナム ツン・ラム社

 ベトナムのキャッサバ澱粉輸出大手ツン・ラム社(ヴー・キエン・チン社長、ハノイ)は、ホーチミン市郊外のドンナイ省に総工費約31億5000万円を投じ、35haのエタノール工場を建設。全量日本へ輸出する。

竣工したエタノール工場 2010年度から本格生産に入り、日量200t年間6万tのバイオエタノールを製造する。バイオエタノール生産としては、ベトナム初の大型プロジェクト。
 工場は特に環境問題を重視している。約6億3000万円を投資し、排水の完全自社内循環や製造過程で発生するバイオガスを活用して発電するなど、環境に与える影響を極力抑えた設計だ。
 バイオエタノールは需要の拡大が見込まれている。従来はサトウキビなどから製造するものが主流で、欧州ではブラジルからの輸入が多い。一方国内のエタノール需要は、新型インフルエンザの予防で消毒用需要が高まり、供給が間に合わない状況だ。
長期安定的にかつ大量に確保されるキャッサバ 原料となるキャッサバは家畜飼料としても使われているが、比較的荒れた土地でも育てやすく増産が望める。またエタノールの搾りかすは飼料として輸出される予定。ツン・ラム社は、本業で培ってきた集荷力で遺伝子組み換えの心配がないキャッサバを、長期安定的に大量に確保できる強みをもつ。
 計画では全量輸出の予定で、日本へは貿易商社の(株)エイアイティ ジャパン(足立茂社長、本社=横浜市、045-212-0190)が総代理店となる。
 今後、両社は共同で日本国内でのバイオ燃料や消毒用アルコールに関心のある会社を開拓していくとしている。

(写真)
上:竣工したエタノール工場
下:長期安定的にかつ大量に確保されるキャッサバ

(2010.01.14)