ヰセキグループの栽培技術では、慣行栽培の約半分の植え付け株数で、同等の収穫量を得ることができる。このことから、「疎植栽培」は、省力化・低コスト稲作農業の決め手として、注目されてきた。
ヰセキが「疎植栽培」を提唱し、疎植対応田植機を開発したのが、平成12年のことだ。坪37株植えは、株間・条間とも一尺(30cm)になる。古来から伝わる水稲栽培は、一尺間隔の尺角植えが基本であり、「疎植栽培」は新栽培法というより、いにしえの栽培法に戻したということである。
同社は創立85周年を機に、この栽培技術の更なる普及を図り、多くの生産農家に低コスト農業を提案できる体制を築くことを目的として、「疎植営農指導員制度」を設置したものだ。
「疎植営農指導員」は、同社とグループ販社のセールス担当者を対象にしたもので、疎植栽培技術の習得レベルに応じてクラス構成される。
指導員は、疎植栽培の基本技術を習得し、疎植栽培の提案並びに農家と共に生育状況の管理・記録を録る「疎植パートナー」、栽培に関するより深い知識を持ち、記録から科学的な根拠に基づき生育状況の良否を判断し、栽培のアドバイスを行う「疎植アドバイザー」で構成される。
指導員には、肥料・農薬の施用散布や水管理などに関する広い知識と技術が要求される。指導員の資格を得るには、実技・筆記試験に則った厳しい審査をクリアする必要がある。
同社では、立ち上げ当初に(H22年4月)疎植パートナー50名、疎植アドバイザー20名、3年後には、パートナー1000名、アドバイザー60名の有資格者の育成を目指す考えだ。
(写真)認定カード