散布ノズルの開発に当たっては、「均一性を保ち、しかもスピーディな散布で、かつ苗に対して優しく散布できること」が最大の命題とされた。一見、相反する課題でもあり、共同開発に挑んだシンジェンタとヤマホ工業(注)は試行錯誤を重ねた。
その結果生まれたのが、ノズルの2重構造による「ジュリボ用一頭口」だった。
着目したのは、噴霧量を決定する2つの穴噴板。2つの穴から噴出した霧は1つ目のドーム型オリフィスの内部でぶつかり合うことで、扇形の噴出パターンを形成する。
ただ、このままでは、扇形の中心部の吐出液量が多く、端の方は少なくなってしまう。さらに、噴霧角度も約100°と広くなる。このパターンを均一化するのが別パーツのドーム型オリフィスとパッキンの工夫だった。
ドーム型オリフィスは2枚が重ねられ、その間にパッキンが仕込まれることにより隙間ができる。
1つめのドーム型オリフィスだけでは噴霧角度が広く、その両端の噴霧量が少ないため、その部分をカットするのが2つめのドーム型オリフィスで、その孔と重ねられた隙間の大きさがポイント部分。
このような仕組みにより、噴霧の分布跡がほぼ全ての場所での吐出量を均一化させた。 ジュリボノズルの購入はJA、農機具店で。
(注)ヤマホ工業 本社・工場:和歌山県日高郡、今川良成社長、昭和35年創業、資本金1000万円。農業用各種ノズル、農業用防除器具などの製造・販売会社として高い評価を受けている。
(写真)
上:共同開発したヤマホ工業からも駆けつけた
中:取り付け簡単で交換もスピーディー
下:通常ノズルと比べて処理液の粒子が大きい「ジュリボ用1頭口」はすばやく大量に噴出できる