「ビンセント」シリーズは、日長に左右されない日長中性品種で、いつでもタネまき後55日前後で開花するため長日期では草丈が伸びすぎることがなく、極端な短日期でも必要な草丈がとれることから、季節によって品種を替える必要がなく、周年で同一品種を使用できる。
また、一斉に出芽することからその後の成長もよくそろい、従来品種のように先に大きくなった株が成長の遅い株の生育を阻害することも減るため採花ロスを少なくすることができる。10cm間隔での密植栽培も可能。
さらに、止め葉が小さいため、花が葉に覆い隠されにくく、また花首が丈夫で採花後も花はしっかり上を向くため、立体的なアレンジメントにも使いやすいと流通小売関係者からも高く評価されている。
【解説】
本来、長日条件下で開花する習性をもつヒマワリだが、流通が夏に限定されていたのを周年流通にもっていったのは、福岡県の中島礼一氏育成による短日開花性品種「太陽」だった(1969年)。
サカタのタネが育成した「かがやき」(86年)を含む切り花用品種の多くは、特に短日条件下で開花する性質を強くしたため、長日期ではなかなか開花に至らず草丈が伸びすぎ、逆に極端な短日期では出荷に必要な草丈が確保できずに開花してしまう難しさがあった。
「ビンセント」シリーズは、生産者の日長に左右されず採花できる新しい品種の登場への期待に応えたもので、同社ではヒマワリ分野でのシェアの巻き返しをはかる。