人口増加など成長著しい新興国の食料増産による農薬需要の拡大や、ジェネリック(特許切れ)農薬などの低コスト農薬の躍進に対応し、製造コストの廉価な海外での生産を拡大することで、競争力の強化をはかる。
同社の力菱ファインケミカルへの出資比率は19.5%。日本円で、約5億円程度と見られる。製造した原体はパイプの太いブラジルや中近東、アジアなどへの輸出に向けられる。
力菱ファインケミカルは上海群力化工、三菱商事、純正化学の3社が出資し、2004年に設立された農薬中間体・原体、及びその他ファインケミカル中間体の製造を扱うケミカル会社で、10年の売上高は約20億円と見られている。
一方、日本曹達の、この分野の売上高は約350億円。
同社は現在、米国、ドイツ、ブラジル、中国、韓国に海外現地法人を所有し、グローバルビジネスネットワークを形成している。
95年にドイツBASF・三井物産と合弁会社を設立し、世界市場でシクロヘキサンジオン系除草剤の生産・マーケティングを推進し、ブラジルでは、現地の農薬メーカーに資本参加し、殺菌剤「トップジンM」の生産を行っている。
今回の、中国における原体製造拠点の構築は、農薬におけるグローバル戦略の一環で、着実に海外事業の拡大推進を目指したものと見られる。
資本提携を機に、力菱ファインケミカルを農薬関連製品をはじめとするファインケミカル製品の製造拠点と位置づけ、主に海外マーケットを対象とする競争力ある安定した供給体制を構築していくという。