従来の薬剤は「休眠胞子(※1)の静菌作用」で効果を示していたが、「オラクル」は病害の感染源となる「遊走子(※2)の殺菌作用」で予防するので、土壌中の菌密度を栽培中に低減させ、畑の土をきれいにする。
農薬登録をしたのは2010年10月20日。「オラクル粉剤」は15kgと3kgの2包装あり、販売中の15kgに加え、3kgを2月中に市場投入する。そのほか「オラクル顆粒水和剤」、「ばれいしょオラクル顆粒水和剤」と3タイプをラインアップした。
「粉剤」は全面土壌混和ができ、さらに菌密度の高いほ場では「顆粒水和剤」でのセル苗灌注との組み合わせでより高い効果が期待できる。今後は非結球アブラナ科葉菜類や、カブ、カリフラワーなどアブラナ科野菜、
ショウガ、イネなどの土壌病害に適用を拡大していく予定。
「顆粒水和剤」はキャベツ、ハクサイ、ブロッコリーのアブラナ科野菜でセルトレイ処理ができ、極めて省力的で低コストな防除が可能。今後は土壌全面処理への拡大が期待される。
現在この分野は「ネビジン」「フロンサイド」などが市場シェアを獲得している。総マーケットサイズは約25億円と見られ、同社ではキメ細かな技術普及を展開し3年後のシェア約40%(約10億円)をめざす。
※1 休眠胞子:根こぶ病の病原菌は土壌中に耐久体の形で存在し、アブラナ科野菜が植えられるまで休眠状態で待っている。この耐久体の胞子を「休眠胞子」と言う。
※2 遊走子:土壌中の休眠胞子はアブラナ科野菜の根に反応して目を覚まし、遊走子が発芽する。この遊走子が根に感染し発病させる。