今回の閉鎖は、バイエル社(ドイツ・モンハイム)がグローバルレベルで進めている研究開発部門の再編と、昨年11月に決定した成長分野に集中するための経営資源配分の見直し、業務効率の改善、およびコスト削減を目指したグループ全体の再編計画に基づくもの。
これにより、結城中央研究所における農薬の研究開発活動には終止符が打たれ、今後の研究開発業務については国内の同社既存施設に移管・継続される。
この決定についてギャビン・マーチャント社長は、「国内農薬市場の重要性および市場への注力を損ねるものではない。グローバル全体で開発・保有している革新的な製品群や市場に、より密着した国内研究開発組織を最大限活用し、今後も日本農業のニーズに合った革新的な新製品とサービスの提供を継続する」と談話している。
結城中央研究所は85(昭和60)年、六本木プリンスホテルなどを手掛けた黒川紀章氏(故人)の設計により設立された。庭園は、京都の修学院離宮・中御茶屋をモデルとし、住民の憩いのある見学コースともなっていた。
創出された農薬には、「AVH-301」(有効成分:テフリルトリオン)、「イノーバ」を代表とする数々の水稲除草剤、殺虫剤「アドマイヤー」、「バリアード」、殺菌剤「ルーチン」などA級製品が多い。
今回の再編により、約60のポジションが削減の対象(10年末所員数は103名)となる模様で、影響を受ける社員の処遇や今後のスケジュールなどに関する詳細は、現在慎重に検討されている。