事業種別では、過去2期の大幅赤字の回復に取り組んだ「無機化学事業」は、酸化チタンがアジアでの需要拡大や欧米先進国での需要回復、世界のメーカー在庫が過去最低水準にあったことなどにより、生産稼働率の改善と販売価格の上昇で利益率は大幅に改善。売上高は前期比58億円増の521億円、前期25億円の損失だった営業利益は29億円となった。
「有機化学事業」の農薬部門は、国内販売はほぼ前期並みだったが、海外では主力市場である欧州での需要減少、ジェネリック品との競争激化、対ユーロとの円高進行などの影響や、新規剤の研究開発費の増加などによって売上高、営業利益ともに前期を下回った。
医薬の売上高は前期を上回ったものの、同事業の売上高は前期比34億円減の395億円、営業利益は同15億円減の74億円となった。
◆引き続きアジア市場に期待
次期の業績見通しは、東日本大震災の影響が避けられないとしつつも酸化チタンや農薬販売は海外での需要に引き続き期待できるとして、現時点では震災前に策定した計画を据え置き、売上高は当期比79億円増の1070億円、営業利益82億円(同8億円減)、経常利益50億円(同11億円減)、当期純利益30億円(同18億円減)とした。