アザミウマ類、ハモグリバエに適用のある有機適合資材は非常に少ない。
有機JASで使用が認められている殺虫剤の多くはチョウ目、コナジラミ類、アブラムシ類の防除剤で、その多くは天敵等生物農薬で、幅広い害虫に登録を持つ散布剤は限られている。
今回適合資材に追加された「スピノエース」は国内で販売を始めて 12 年。その間、適用を拡大し続け、野菜・果樹・茶のアザミウマ類、ハモグリバエ、チョウ目などを対象に70作物以上に適用がある。散布翌日から害虫の密度低下が顕著になるなど優れた即効性があり、特に果菜類のアザミウマ類防除で評価が高い。
同剤の有効成分スピノサドは、土壌放線菌が産出する成分を抽出し製剤化した天然由来のもの。すでに世界80カ国以上、250作物以上で使われており、そのうちEUを含めた40カ国以上で有機農業への使用が認められている。
日本では有機適合資材として認められると、有機農業に利用できるだけでなく、各自治体ごとに基準が設定されている特別栽培においても、全国一律で使用回数へカウントされなくなる。「有機農業はもちろんだが、特別栽培向けにも一層のPRをしたい。また、フードチェーンや外食産業の中で独自の基準を設けている企業や、一般の生産者に対しても“新しい”有機資材として改めてアピールしたい」と矢澤氏はいう。
ただし、環境に優しく、有機農産物にも使える薬剤というと、何度でも無制限に使用できると誤認される場合もある。これに対し、「あくまでも農薬なので、農産物の安全性確保や害虫の抵抗性を高めないためにも、しっかりラベルの使用方法を守ってほしい」と注意した。
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上:矢澤和敏氏
下:スピノエース顆粒水和剤