農水省では、農林水産業・食品産業の現場で、緊急に対応を要する研究課題を公募・採択し、委託事業として実施している。
11月に、施設園芸での在来種クロマルハナバチの利用技術、キノコへのセシウム移行低減技術など、6件の研究対象について公募したところ全19件の応募があり、今回その中から14件を採択した。
マルハナバチの利用技術については、すでに商品化もしているアリスタライフサイエンス(株)などの研究グループが採択された。地域イノベーション戦略に基づく初期研究ではもっとも多い9件が採択された。
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研究対象、課題、実施グループは次の通り(【研究対象】、研究課題(グループ名))。
【海外悪性伝染病の防疫における移動式レンダリング装置活用のための技術体系の確立】
口蹄疫等の防疫における移動式レンダリング装置活用のための技術開発(農研機構動物衛生研究所、同畜産草地研究所、宮崎大学産業動物防疫リサーチセンター、南国興産(株)、農林水産消費安全技術センター)
【クリシギゾウムシの新たな防除対策の体系化】
クリシギゾウムシの防除技術に関する緊急調査(農研機構果樹研究所、茨城県農業総合センター園芸研究所、長野県果樹試験場、熊本県農業研究センター果樹研究所)
【施設園芸における在来種クロマルハナバチの利用技術の開発】
在来種マルハナバチへの切替に必用な利用技術情報の収集と普及(国立環境研究所、アリスタライフサイエンス(株))
【ハザードマップ作成のためのため池決壊時の被害範囲推定技術の開発】
ため池決壊時の簡易氾濫解析による被害範囲推定技術の開発(農研機構農村工学研究所、(株)ジー・アンド・エス)
【プルシアンブルーを用いた栽培きのこへの放射性セシウム移行低減技術の確立】
プルシアンブルーを用いた栽培きのこへの放射性セシウム移行低減技術の確立(森林総合研究所、群馬県林業試験場、(株)北研)
【地域イノベーション戦略に基づく農林水産・食品分野の初期研究】
▽ウメ新品種「露茜」の需要拡大を目指した色素・機能性等の解明(和歌山県農林水産部、近畿大学生物理工学部、和歌山県工業技術センター)
▽スギを微粉砕してセルラーゼ糖化率を高めた木質飼料ペレットの開発(秋田工業高等専門学校、秋田県立大学システム科学技術学部、
同生物資源科学部、秋田県農林水産技術センター畜産試験場、本荘由利森林組合)
▽伝統野菜の作期・生育ステージの違いによる生体機能改善作用の評価(奈良県農業総合センター、京都府農林水産技術センター、近畿大学農学部、京都府立大学生命環境学部)
▽非破壊・連続・自動計測できる安価な作物ストレス計の開発と現地実証(豊橋科学技術大学先端農業バイオリサーチセンター、(株)扶桑製作所)
▽低温乾燥システムが農産物の機能性・保存性に及ぼす影響評価と機能性食品素材の開発(香川大学農学部、
香川県産業技術センター食品研究所、(株)クールドライマシナリー、農研機構近畿中国四国農業研究センター)
▽ブルーベリー葉専用品種「くにさと35号」の未利用茎活用による増収技術の確立(宮崎県食品開発センター、宮崎大学農学部)
▽未利用生物資源に由来する新規免疫賦活物質の探索(愛媛大学南予水産研究センター、(株)愛南リベラシオ)
▽「南予地域発」地球にやさしい新規養殖システムの開発(愛媛大学南予水産研究センター、愛媛県愛南漁業協同組合)
▽持続的な養殖生産のための赤潮の予察基盤の構築(愛媛大学南予水産研究センター、愛媛県愛南漁業協同組合、愛南町)