遺伝子組換え作物の商業化が始まったのは1996年だった。それから15年。厳格な審査で安全性を確保された遺伝子組換え作物は、いまや日本の食卓を支える重要な役割を担っているといえる。
しかしいまだに「海外ではこんな現象が起きている! 日本はどうなる」とか、科学的な根拠はなにもないのに「収穫地に生えた牧草を食べた羊が死亡した」など、何度も繰り返して主張される「本当のような都市伝説」など、遺伝子組換え作物に対する懸念や不安が発信されている。
こうした懸念・不安材料に対して、科学的な証明事例や情報の出典を明示して回答する総合資料として、作成されたのが本書だ。
ILSI(International Life Sciences Institute)は、1978年にアメリカで設立された非営利の団体で、「健康・栄養・安全性・環境に関わる問題の解決および正しい理解を目指すとともに、今後発生する恐れのある問題を事前に予測して対応していくなど、活発な活動」を行っている。そして、非政府機関(NGO)の一つとして、世界保健機関(WHO)とも密接な関係にあり、国連食糧農業機関(FAO)の特別アドバイザーの立場にあるなど、科学的データの提供者として国際的に高い信頼を得ている。日本支部は1981年の設立。
本書は、ILSI Japanのホームページからダウンロードすることができるので、遺伝子組換え作物・食品に関心ある人はぜひ読んでもらいたい。