脱原発時代のくらしを市民と労働者はどう変えるか
大嶋氏は、日本生協連の指導・組織部長をはじめ、それこそ生涯を生協運動、消費者運動に捧げてこられた。本書は、その豊富な経験としっかりとした批判精神を武器に、東日本大震災と福島第一原発事故の反省に立って、これから再興する社会のありようを真摯にかつ情熱をもって次の世代に伝えようとするものである。
それは、(1)人類の維持可能な、すなわち持続可能な発展の道を実現すること、(2)子どもの世代に、放射能汚染のような人類にとって解決不可能なことを絶対に残さないこと、(3)すべての人の文化的生存権を守り、人間にふさわしい仕事を保障すること、にある。そのような社会の経済システムとしては、「公共経済システム」、「協同経済システム」、「市場経済システム」の三つの経済のバランスのとれた複合が、氏の提唱するところである。
2012年国際協同組合年を迎えるなかで、本書が多くの読者を得て、わが国の協同組合運動の前進に貢献することを期待するものである。